【書評】全てがひっくり返る驚愕のミステリー『medium 霊媒探偵 城塚翡翠』(相沢沙呼)
これはものすごいミステリーでした……。ライトノベルっぽい表紙とタイトルにだまされてはいけません。とにかく驚きます。
『medium 霊媒探偵 城塚翡翠』という、これも本屋大賞ノミネート作品。作者は相沢沙呼さん。
1、内容・あらすじ
主人公は推理作家の香月史郎(こうげつしろう)。彼は、城塚翡翠(じょうづかひすい)という若い女性と協力して、数々の事件を解決してきました。
翡翠は霊媒であり、死者の言葉を伝える能力を持っていました。しかし、彼女の霊視には証拠能力はありません。そのため、香月は霊視で得られた情報をむりやり論理に変換し、警察に伝えます。そうやって事件を解決に導いてきました。
一方、関東ではここ数年、姿なき連続殺人鬼が人々を脅かしていました。一切の証拠を残さないこの殺人鬼は、翡翠を標的に定め、魔の手を伸ばそうとしていました──。
2、私の感想
世間知らずでかわいい霊媒と推理作家のコンビが、徐々に親密になっていく様子が何とも微笑ましく、「なんだ?この二人は恋仲になるのか?」などと思いながら楽しく読んでいました。
しかし。後半でいきなり嵐がやって来ました。
「そういうことだったのかよ!!!!!」
という声が出ます……。
「すべてが伏線」というキャッチコピーもうなずけます。読み終わってから見ると「表紙ですら伏線なんだな」と思いました。どうりで……。
「どんでん返し」といえば、『葉桜の季節に君を想うということ』などが有名ですが(書評はこちら)、この作品のどんでん返しっぷりも見事です。『葉桜……』とは違った意味で、これも映像化は難しそうです。
この作品は、ある意味でシャーロック・ホームズの未来進化版なのかもしれないな、と思いました。
多くは語れないのが残念です。ぜひ読んで、最後の超スピードのジェットコースター的展開を味わってください。
3、こんな人にオススメ
・シャーロックホームズが好きな人
つまり、古典的本格ミステリーが好きな人はハマります。
・驚きたい人
絶対に驚けます。それも一度ではありません。
・パズルが好きな人
全体的にパズルを見ているような展開です。後半は特に。
最後はちょっと切ない感じで終わるのも、救いがあってよかったです。謎解きのままで終わっていたらショックから立ち直れなかったかも……。
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