【書評】どんでん返しの名作『葉桜の季節に君を想うということ』
歌野晶午さんの『葉桜の季節に君を想うということ』を紹介します。「どんでん返しの名作」として名高い小説です。
①あらすじ・ストーリー
「何でも屋」を自称する元私立探偵・成瀬将虎が主人公。
将虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から、ある悪質な霊感商法の調査を依頼されます。
動き始めた将虎は、自殺を図ろうとしているところを救った麻宮さくらと運命の出会いを果たし……。
という感じで、危険あり、お色気あり、のハードボイルドストーリーが展開されるのですが、この小説の面白さはストーリー展開にあるのではないのです。
②私の感想
「ふーん、まあまあおもしろい、かな?(でも、そんなに売れるほどでもないなあ)」と思いながらページをめくっていました。
そして結末まであと数ページ、という箇所で、
「ん??」
と、目が点になりました。そして、
「え?え?どういうこと?」
と混乱し、さらに、
「え!なに!◯◯じゃないの!?」
と驚き、あわてて最初の方を読み返し、
「なんだよ! そういうことかよ!! やられた!!!」
と叫び声をあげました……。
読んだのはかれこれ10年以上前ですが、この時の驚きは今でもよく覚えています。
これ以上ないくらいに見事などんでん返し。
本編の後に、作者が書いた「用語集」みたいなものが載っているのですが、これがまた憎たらしいこと……。
作者のニヤケ顔が目に浮かぶようでした。
この小説を語る上でよく言われるのが、
「絶対に映像化できない作品」
ということです。
そうなんです、映像化できないんです。活字だからこそできる大仕掛け。
③こんな人にオススメ
・とにかく驚きたい人。
絶対に驚けます。「え、最初からわかってたよ」なんていう人はいるのでしょうか。いないだろうなあ。
・普段あまり小説を読まない人。
小説の楽しさがわかってもらえると思います。
授業で紹介したところ、ある生徒が読んでくれて、「普段まったく本を読まない私でも3日で読みました。初めて小説読むの楽しいって思いました」と言っていました。
興味を持った方、ぜひどうぞ。
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