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札幌・小樽、20190321-22
5日間にわたる旅行も、本日が最終日。明日は飛行機で千歳から大阪に帰ることになっている。本当は帰りも他のゆっくりとした何らかの手段を使いたかったのだが、予定があってそれはできなかった。ホテルを朝に出発して、札幌と小樽を回る。荷物はホテルの部屋に置いておけるので楽だ。
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ホテルからすぐそこ、時計台は実はビルに囲まれていて、しかも意外と小さい。存在感もあんまりない。こういう感じはエジプトのピラミッドと似ている。ピラミッドも砂漠の真ん中にあるイメージだが、実は市街地がすぐそこまで広がっている。存在感は、全然違うかもしれない。何でも、実際に訪れてみないとわからない。
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札幌は大きいアーケードや地下通路がよく整備されていて、さすが雪国の大都市といった感じ。札幌から列車に乗って小樽まで行く。そこまで時間はかからない。小樽(厳密には手宮で、今の小樽駅ではない)~札幌は北海道の中で最初にできた鉄道である。鉄道ができると石炭を搬出する港として大いに繁栄した。寒さのせいか、普通の列車もドア部分と客室部分が分かれていてかなり豪華な感じだった。あいにくの曇り空で寒々とした車窓だった。
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小樽はこういう感じ。正直言って、特に何か書くべきこともない。三角市場は駅のすぐそばにある。形が三角なのが由来だと思う。その立地から、利用しているのはほとんど観光客なのではないか。英語表記も目立つ。塩辛を値切って買おうとしたが普通に無理でした。慣れないことはするものじゃないです。この市場だけに言えることではないが、観光地の市場は相場が分からないので高いのか安いのかわからない。札幌に戻る。
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すすきの。ネオンが雨に濡れた路面に反射する。コンビニ「セイコーマート」は本州ではほとんど知名度がないが、北海道では最強勢力。この日の晩御飯に何を食べたのかは覚えていない。
次の日の飛行機は朝8時の便でかなり早起きした。新千歳空港に向かう。荷物は最新の機械みたいなのがあって、スタッフと接することもなく一瞬で預け終わる。
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北海道上陸まで4日かけたことに対して、伊丹空港に着くのは、驚くほどあっという間だった。あまりにも便利で早く感じられて、大阪に着いた時も着いた実感がなくふわふわした感じだった。
それもそのはず、5日間を振り返ってみると、決して意図したわけではなかったが、不便なことが多かった(もちろん、昔の人はずっと歩いていたわけなので、4日で大阪から北海道に行けるのもかなり便利である)。重い荷物をずっと肩に背負い、本数の少ない列車を待ち、何時間も列車に揺られ(時には立ちながら)、とにかく歩き…という感じだった。ずっと一人だったし、正直、楽しいという感じではなかった。
とはいえ、このような不便を経験することで初めて見えてきたこともある。列車の中には地元の人がたくさん乗っていて、あまり褒められたことではないが、その土地に住む人々の様々な語りを聞くことができた。ここで私は、人はどこに住んでいても、結局あまり変わらない存在で、私たちと同じように暮らしているということを実感した。当たり前のことなのだが、やはりそれを確認すると安心する。人間にとって、遠いところの人の具体的な生を想像するということは意外と難しいのかもしれない。因果を結び付けるのは早計かもしれないが、いまなお「国家」という大きな枠組み同士の軋轢のなかで、遠いところの人の生を奪ってしまう背景のひとつには、各人の想像力の欠如ではないか。少なくとも、この想像力は大きな力となる。理屈で分かっていても、本当にわかっていることにはならない。まずは、世界のいろいろな場所に行って様々な生を目の当たりにしなくてはならないと思う。
また、様々な交通手段の発達(特に速達化)によってもはや気づく事すら難しいが、移動とは本来とても手間がかかり、しんどいものなのだ。でも、その手間が、しんどさが、良くも悪くも現実(もちろんその手間としんどさ自体も含めた)を突き付けてくる。私たちが大阪~東京間を徒歩で移動することや、大阪~北海道間をエンジンのない船で移動することを現実的に考えられないのと同じように、4日もかけて北海道に行くことが考えられなくなる日も来るかもしれない(もしかしたらもう来ている?)。もちろん、交通手段が多様化し速くなるのはとても良いことで、私たちは実際にその恩恵を受けて生活している。しかし、どんどん便利になる移動によって、突き付けられなくなるものの存在を、私たちは忘れてはいけないと思う。
全5回、ここまで読んでくださった方がいるかわかりませんが、このような拙い分を読んでくださりありがとうございました。感想などコメントがありましたらぜひいただきたいです。
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