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バイデン大統領の日本は「外国人嫌い」は過去の話(川上高司 中央大学法学部講師)

日本の労働力不足が日に日に深刻化する中、日本では外国人労働者への依存度が上昇し、ここ数年間に外国人労働者の数は大幅に増加している。厚生労働省のデータでは昨年でみると、205万人(前年比 約236万人増加)。ベトナム(25.3%)、中国(19.4%)、フィリピン(11.1%)の順である。この増加傾向は続く。外国人労働者が急増することで日本経済は活性化される。外国人労働者が毎年10万人のペースで増えると、経済のパイが徐々に拡大し、日本の国内総生産(GDP)を毎年0.07%引き上げる」「これが30年続けば、GDPは1%増加するとされる。

しかし、一方、不法滞在などで統計に組み込まれていない外国人は約21万人いて、労働単価の安い外国人労働者を大量に雇い入れると、同じ仕事に従事する日本人の賃金上昇を抑制する可能性がある。次に、外国人と共生したことがない日本人にはとまどいが生じ、地域や職場での差別意識や外国人排他感情も生まれよう。また、犯罪も増えることになることは否定できない。しかしながら、そういった現実を見据え、その対策を講じねば日本の国家としての存続は困難になろう。少子高齢化の中で日本は多様な人種を若い労働力として受け入れざるを得ず、多文化共生社会になることは間違いない。もしそうであるならば、今のうちから日本の「国体」の在り方を今一度きちっと整理して、その上で外国人に日本の文化や価値観、歴史を学んでもらう必要がある。

そのお手本がアメリカである。いやこうなしに外国人の流入がふえれば、アメリカと同じく多民族・多宗教の国家の在り方にむかうのは間違いない。日本は昨今のインバウンドの増加をみてわかるように世界的に非常に魅力的な国である。そこのはいってくる外国人労働者に「日本化」をおしすすめ、彼らをとともに共生する社会を作りあげていかねばならないのはいうまでもない。その最先端をいくのがアメリカである。アメリカは建国から今まで、外国人をうけいれて国力を維持している国家である。

その基盤は、プロテスタントという宗教がありそれに基づく合衆国憲法を作り、アメリカならではの民主主義制度をつくりあげてきたのである。外国人の出入国をどのように管理するかは、日本国政府が考える責務がある。日本国憲法の改定を一時的なものとだけとらえるのではなく、国体まで考えて論議をする必要があるのではなかろうか。

日本の歴史を振り返ってみると、有史以来、日本列島は多くの渡来人を受け入れてきた。しかし、歴史的にあは朝鮮半島や中国大陸がほとんどであって、現在ほど多様な人種が日本に移入してきた時代はない。このような国家の形が根本的に変わるような政策に関して、国民的議論なしに、なし崩し的に受け入れてしまっては日本本来の国体が崩れてしまう。

今回のバイデン大統領に発言を契機として、日本でも移民や外国人労働者、留学生問題を根底から論じる必要性がある。

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