見出し画像

エアロイントラ 人間の修行


エアロビクスインストラクター、

この仕事は本当に人間の修行になる素晴らしい仕事だなあと思います。

エアロイントラはワーワーキャーキャー言いながらやっていますが、

やりながら結構頭の中はフル回転しています。

喋り続けながら動き続けながら大声でわめきながら、

頭の中ではこの後どうするかとか、

受けている人を観察したりしながらなので、

人間の能力を高めるための本当に良い修行だと思います。



エアロビクスのクラスは殆ど何も決まっていなくて、全部イントラが作ります。

一応の決まり事としては、

ウォーミングアップの時必ずストレッチをやらなければならない身体の部位、

そして、心拍数を徐々に上げて、保って、徐々に下げて終わる、

という台形にしなくてはならない、という二つくらいのものです。

あとは選曲から動きの内容まで、全部イントラが考えて行います。

ずっと喋りながら、同時にお手本になる動きを見せながら行うので、

受けている人の3倍体力を使うと言われています。


笑顔で喋り続けながら動き続けながら、

頭の中では、次の動きはどうする? とか、

あの人ちゃんと出来てないな、とか、

みんな良く動けているからもう少しキツくしようか、とか、

グルグル考えながらのレッスンです。


エアロビクスを長年受けている人だと、イントラの状態が手に取る様に解ります。

今、頭が混乱してるな、とか、今やる事を間違えたな、とか、全部分かります。

全部お見通しなのはイントラも解っているので、

ヘンに誤魔化したりしないで、全部さらけ出してやることになります。


昔のエアロイントラは、身体もお手本でした。

なので、身体の線がしっかり出るウェアを着てやっていました。

体型から内容から喋りから、何から何まで全部お見通しの状態でやるわけです。

これはなかなか良い修行になります。


なので、若い人は身体と精神の修行として、出来るなら是非やって貰いたい職業の一つです。

ただし、収入は良く有りません。

自分が現役の頃は1本3000円スタートでした。

あの頃はガンガン走るとてもキツいエアロビクスをやっていた頃ですが、

1時間やっても3000円。ギャラが上がるのは1年に一回有るか無いかです。

現在でもだいたい1本5000円スタートです。

昔と違って今のエアロビクスはかなり運動強度が低く、時間も短くなっていますが、

きょうび1本5000円じゃあねぇ、苦しいですよね。

自分は週に13本やっていましたが、それが体力の限界で、月の収入は15万円くらいでしたね。

午前中1本レッスンをやって、次のスポーツクラブに行き、夜に1本やる、

みたいな毎日で、他の仕事をする余裕も有りません。

それでいて、受けたいセミナーがたくさん有って、

一回受けると何万円もかかったりして、本当にお金が大変でした。

自分がイントラを止めた理由は完全に経済的な理由でした。

もうどうにもならないくら生活が苦しくなってしまって諦めました。

なので、イントラをやるなら副業が良いと思います。

週に1,2本だけやって、その2本に全力を尽くす、

なんてのは良いんじゃないでしょうか。



66歳になった今、とてもとてもレッスンの最初から最後まで

ずっとお手本になる動きをし続ける体力が無く、申し訳ないと思っています。

でも、今現役の若いインストラクターで、

マトモにハイインパクトエアロビクスが出来る人が殆ど居ないので

老体に鞭打ってやっています。


インストラクターになるには、実は特に国家資格の様なものは有りません。

有りませんが、何年もエアロを受けていた人でないとやるのは無理です。

殆どの人はイントラになる為にスポーツクラブなどでやっている養成コースに入って勉強します。

実技と学科の勉強をします。

学科はだいたい、解剖学、スポーツ生理学、栄養学などになります。

今なら養成コースはたぶん、50万円くらいかかるのではないでしょうか。

スポーツクラブでレッスンを持つには、オーディションを受けます。

あるいは、養成コースで成績が良ければ推薦してもらう事も有ると思います。

長年エアロビクスを受けていて、次の動きが予想出来る様になっていたり、

やれと言われればリードをとれるくらいは出来る様にならないと難しいと思います。、

なので、メンバーとして何年もエアロを受けていた人でないと難しいと思います。



そういうわけで、余裕が有る人でエアロをずっと受けている人は

イントラになって副業するのはお勧めしたいと思います。

本当に良い修行になると思います。


ちょっと前まで、多くの若い人がよく「芸人になりたい」と言っていましたっけ。

芸人をやるのも、物凄く良い修行だと思います。

全然ウケなかった時の落胆や、

自分の気持ちを振り絞って高いテンションを出して演じる、

舞台に立った途端、考えてきた事を全部忘れてしまう、

心が思い切り折れそうになりながらハイテンションで演じなければならない、

というのは過酷な修行だと思います。

インストラクターって、それと全く同じです。


イントラになってすぐの頃、色々なスポーツクラブのオーディションを受けました。

有名なすごーーーく恐い偉い先生に見られながら、

誰も居ないスタジオで、1人でクラスを演じた時の事は、今でも忘れられません。

自分がやっている床に穴が開いて

地球の裏側まで落ちて行けばいいのに、と思ったものでした。



エアロビクスで使う音楽はエアロビクス用に編集されたものを使います。

そういうものが売られています。

8カウント×4=32カウント でひとまとまりになるように編集して有ります。

自分の場合は自分のレッスンは全て自分でリミックスしたものを使っています。

一曲目はさわやかに始まって徐々にテンションが上がる、と言う様に曲を選んで、

32カウントになるようにしてリミックスします。

自分でリミックスするので、最初から最後まで1本に編集しておくので、

何事も無ければテープチェンジをしないレッスンをしています。

現在でも80年代、90年代の曲ばかりを選んでいます。


エアロビクスクラスの最後、リラクゼーションの定番は、

Diana Ross  if you hold on together



今でもこの曲は良く使っています。

(現在のスポーツクラブでは最後の筋トレやストレッチ、
リラクゼーションは全く行われていません)



Youtubeに昔のエアロの動画が上がっていました。
物凄くパワフルで、大きく正しい動きをしながら元気よく、
身体の線をきっちり見せて大汗をかいても大丈夫な服装でやっています。

例えばステップタッチもしっかりアップダウンをとって大きく動いています。
こういうインストラクターが、今、殆ど居なくなってしまっています。
本当に残念です。




息子にさせるべきアルバイト

新しい世界へ踏み出す若い人へ、

アンチエイジングは積極的な自分

若いからわからない事


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?