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自分のバイアス、どれくらい知っていますか?

はじめに

「錯覚」についてまとめられた興味深い記事がありました。
記事に掲載された50もの錯覚を5つのnote記事に分けて紹介したいと思います!

錯覚、例えば輝かしい実績がある人に対してそのほかの部分でも好ましい(歪んだ)評価をしてしまう「ハロー効果」やジャイアン映画版で良いことするとめちゃくちゃ好感度が上がる「ジャイアン映画版の原理」など、様々な種類があります。この記事では、古来から認識されてきた錯覚からGoogleなどITが急速に発展してきた現代だからこそ蔓延っている錯覚まで、50もの錯覚が掲載されていました。

この記事で印象に残ったのは例えば、「自分は正しくて、他人は錯覚しているという思い込み(Naive Realism)」という錯覚。自分の思想そのものが錯覚である、とにわかには認めたくはないけれど、きっとそうなんだな、認めざるを得ないのも事実でした。

まだまだ他にも、錯覚はあります。
身近なところでいえば、下のような広告。

定価2万円のヘッドホンが今日限定で50%オフ

こちらの広告では、「希少性」(今日しか買えない、という希少性の訴求)と「アンカリング」(50%オフという特定の情報を必要以上に重要視する錯覚)が使われています。ヘッドホンに関しての情報はほとんどないのにも関わらず、不思議とちょっと買いたい気がしてきます。

我々はバイアスを利用され、買わされているのです。
バイアスはこのように日常のあらゆるところで利用されています。

裏を返せば、バイアスを正確に把握することで効果的なPRができるかもしれないし、狡猾なPRにも騙されません。また、自分の穿った考え方を正すことが出来るかもしれない。そう思ったので、翻訳してみることにしました。

では、参ります!

1. 対応バイアス(Fundamental Attribution Error)

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私たちは他人を人間性や性格を用いて判断するが、自分自身は状況を判断材料とする。

(例)太郎はクラスに遅れてきた。きっとだらしないに違いない。
私は今日クラスに遅れてしまったが、それは酷い朝だったからである。

これはいわゆる、「他人に厳しく自分に甘い」状況です。

他人の状況含めた情報量が絶対的に少ないので、人間性や性格を用いて判断せざるを得ないのは事実。とはいえ、他人にそういう判断をするのであれば、自分に対しても「自分はだらしないから遅刻したのだ」と素直に認められる公平なメンタルを持ちたいものです。

2. 自己奉仕バイアス(Self-Serving Bias)

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私たちの失敗は時節によるものだが、我々の成功は努力の賜物である。

(例)私たちが成功したのは、誰かの支えだったり運ではなく非常に努力した結果である。しかし、テストに失敗したのは十分な睡眠が取れていなかったからだ。

「成功」「失敗」を日頃どう自分の中で受け止めているのか。
学生時代のテストの例は、自分の中ではしっくりくるものでした。

このバイアス、結構多いと思います。仕事の現場でも。
でもカッコ悪いですよね。
失敗した時だけ外的環境のせいにしてしまうのは。

ちなみに自分は失敗した時、あの時は体調が悪かった、と言い訳を付けがちのような気がしています。弱い人間です。失敗を素直に努力不足と認め、受け入れられる人間は少ない、ということですね。

3. 内集団びいき(In-group Favoritism)

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私たちは同じグループにいる人々を好む傾向にある。

(例)さとみはあなたと同じジムに通っているので、きっとあなたはまどかよりもさとみの方が好きになる。

ちょっと焦点がずれるかもしれませんが、
「顔を合わせる回数を増やすことで好意が芽生えていく」という恋愛テクニックでもよく紹介されているバイアス。
社内恋愛が起こりやすいのはこの錯覚の恩恵なのかも知れません。

恋愛に限らなくても、気に入られたい人間と同じグループに積極的に所属して顔を合わせる機会を増やすことで、評価は上がるかもしれません。

平成のぶしこぶしの吉村は、特段面白いネタもM1などでの輝かしい賞もないけれど、ほかの芸人さんと一緒の飲みの場にとにかく参加して場を盛り上げ、評価や信頼を獲得し司会やレギュラーに抜擢された、という話が個人的にとても好きです。

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(テレビ朝日「しくじり先生」2014年11月13日放送より引用)

4. バンドワゴン効果(Bandwagon Effect)

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アイデアや流行、信仰、などはより多くの人に受け入れられることで進行する。

(例)サリーはハンドスピナーが子供のためになると信じている。フランシスもだ。

皆さんは、
キンキンに冷えたバケツいっぱいの氷水を頭から被りたいですか?

自分から被りたい変人はいないでしょうけれど、「世界中のみんながやっている」のであればやってみようという気になるから不思議です。よくアメリカで運動が起こる時、著名人を巻き込んだPRが多いですよね。

ちょっと前ですが、難病ALSの周知を目的とした「アイスバケツチャレンジ」が世界中で流行り、マーク・ザッカーバーグやビル・ゲイツなども巻き込みました。ビルゲイツはイーロン・マスクにバトンを渡していたようです。

バンドワゴン効果を知れば、「PRはインフルエンサーから巻きこめ」という鉄則につながっていくでしょう。

5. グループの調和(Groupthink)

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グループの調和を保ために、自分の考えに反する決定を行う。

(例)姉はアイスクリームが欲しい。ただ、兄はTシャツを買いに行きたい。そこで、あなたはアイスクリームの柄が入ったTシャツを買いに行かないかと提案した。

どうやら私たちは集団の調和を重んじるばかりに、他人に合わせてしまいがちのようです。例えば仲間内でアウトレット行く時「ちょっと寄りたい店あるんだけど良いかな」と言った人に特段興味はないのについていく傾向、ありませんか?あれはこのバイアスが作用しているのだそうです。

あと関係あるか分かりませんが、
居酒屋で友達が「ドリンクやフードを先に頼む方が幸福度が高い」と言っていたのを思い出しました。その方が、他人に合わせず自分が本当に頼みたいものが食べれる、というらしく、あながち間違っていないように思いました。

6. ハロー効果(Halo Effect)

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ある人物に対してポジティブな面を見出すと、他の部分もポジティブな印象に変わる。(逆も然り)

(例)テイラースウィフトは意地悪なわけがない、あんなに可愛いんだから!

出ました、ハロー効果。
ハローとは「こんにちは(Hallo)」ではなく「後光(Halo)」。
ふろむださんの「人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている」という本ではハロー効果を使ってどうのし上がって行くか、が書かれていました。どこかの本で、日本人はアピール下手だ、と書かれていたように思います。謙虚さが徳とされる日本でアピールするのも受け入れ難い話かもしれませんが、ハロー効果で評価が180度変わるのは事実のようです。

ちなみに、ハロー効果には良い方向にも悪い方向にも効きます。
たちが悪いのは、悪い方に効いた時。一度失敗したりして「ポンコツ認定」されると、わりかし長い間ポンコツと認識されてしまうのです。人間にはデキる成分100%の人間もポンコツ成分100%の人間もいないのに。
良い面も悪い面も両方合わさって出来ているはずなのに、一度ポンコツとして認定されると、今後起こす行動全てが「あいつに任すときっとうまくいかないだろう」と思われてしまう呪いにかかります。

このハロー効果を対してできることはひとつ。
最初は人の倍アピールしてひたすらデキる認定される
ことに尽きます。

7. 道徳的運(Moral Luck)

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モラル的に正しい行いは良い事象を導き、悪い行は悪い事象を導く。

(例)Xという国は、日頃良い行いをしていたからあの戦争において勝つことができた。

戦争の勝敗は日頃の行いと直接の因果関係はないですが、良い行いは良い結果を生む、と考えてしまう錯覚です。
日頃悪い行いをしていたのにも関わらず勝利したケース
日頃良い行いをしていたにも関わらず敗北してしまったケース
を無視してしまっています。

とはいえ、上の論理が正だったと考えるよりは「日頃良い行いをしていればいい結果が訪れる」方にバイアスがかかる方が世界は平和になると個人的には思います。

もしかしたら、日頃良いことをしているのだから(お返しに)良いことが起こって然るべきだ、という返報性の原理からきているのかもしれないです。

8. 偽の合意効果(False Consensus)

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人々は自分の意見・信念・好みが実際よりも一般大衆と同じだと思い込む傾向がある。

(例)みんなもそう考えてるんでしょ!

このシンプルな英文だと解釈が難しかったのでほかの文献を調べてみると、自分の意見・考え・行動が常に多数派(マジョリティ)で正常であると思い込む認知バイアス、のことなのだそうです。

「空回り」と表現される事象は大概このバイアスなのではないでしょうか。
良かれと思ってやったことが...、喜ぶと思って買ったプレゼントがまさか...、などの不幸です。

この偽の合意形成バイアス、自分はもろ受けていると思います。他人へプレゼントを買う時、自分がもらって嬉しいかどうかを基準にしてしまいがちです。人の立場になって考える、のは予想以上に難しいのかもしれません。

ただこのバイアス、ITの力で一部排除することもできます。
Amazonのレビューは、原則みんなの評価が数字に現れているので、多数の支持を得ている商品について一目瞭然です。プレゼント選びに失敗して不幸になる人間が多少なりとも減ります。

あとは、「唐揚げにレモンをかける派かけない派」などの思想についてもレビューを数値化してマジョリティを認識できるといいですね。。。

9. 知識の呪い(Curse of Knowledge)

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一度何かを学ぶと、全員がそのことを知っていると錯覚する。

(例)教師のアリスは新しい生徒の考え方を理解するのに苦労している。

このバイアスは、8番の説の偽の合意効果(False Consensus)をさらに発展させたものだと思います。

日常では例えば、業界用語を知るとほかの人間は全員知っているものだと錯覚する、などがあります。実際は知らないかもしれないのに。

職場の近くのとても美味しいレストランの存在を同期が知らないと、「え、あんなに有名なレストラン知らないの?」とまくし立てる光景もよく見かけます。

自分が知っていること=他人も知っている

と錯覚しがち、ということは心に留めておきましょう。

10. スポットライト効果(Spotlight Effect)

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人々が自分の振る舞いや外見にどれくらい注意を払っているのか、過度に評価しがちである。

(例)さとみは自分のTシャツがいかにダサいかみんなに気付かれるのを心配している。

人は自意識過剰、というバイアス。とても共感できました。自分の容姿や振る舞いを「恥ずかしい」と感じるのは他人の視線を必要以上に意識してしまっている場合が多いのだそうです。

もちろん、テレビの生放送でスベったりすれば、その行為を認知する人間の絶対数は多いです。恥ずかしいと感じても仕方ないでしょう。ただ、街中を歩いていてあなたの容姿を気にする人、一体何人いるでしょう。たかが知れています。

ブレインプログラミングという本では、脳にはRASというシステムが備わっていて、毎秒、五感からの膨大な情報から記憶に値するごく僅かな情報だけを抜き取って記憶中枢に情報を残す、という話がありました。通りを歩いていて、通った車の色や種類、見ているはずなのに覚えていないのは、このRASというシステムが働いているからなのだそうです。

人の視線についてマジックも交えて紹介しているTEDの動画があります。このスピーチを見ると、いかに人が物事を視覚的に見れていないか、というのがよく分かります。

まとめ

共感できるバイアス、いくつありましたか?
まだまだ元の記事にはもっと面白い錯覚がたくさんあったので、どんどん紹介していきたいと思います!

錯覚について調べ過ぎると、一体自分は何を真実と捉えればいいのかわからない、という気持ちになりますが、こうした錯覚を一切排除しようとする試みが「科学」。科学は錯覚から最も遠いいちにあると思います。科学に逃げます。笑


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