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【初出版『最強の法則』100plus】 vol.107:初版部数はシビアに計算される

著者の方、著者候補の方にとって、
もっとも気になるのは「初版部数」でしょう。
言うまでもないかもしれませんが、
あなたの新刊が発売される際に印刷される部数(冊数)のことです。
いわば、あなたの著作に対する出版社の「評価」「期待値」と言えるでしょう。

初版部数は、ますますシビアに計算される傾向にあります。
それは、昨年2021年こそ対前年比は上がりましたが、
紙の書籍の売上げが長期低落傾向にあるからです。

初版部数を決定する際は、どのような手続きがとられるのでしょうか。

まず、著者の既刊実績が分析されます。
どの出版社でも、各書店チェーンや取次の売上げデータが見られるようになっています。
あなたが他の出版社で出した書籍の売上げ実績も、おおよそわかります。
特に同じ著者の他社での類書は初速、売上げの流れ、どの書店で売れているかまで詳細に分析されます。

初出版の場合は当然既刊がないので、実績数字は出しようがありませんが、
だからこそ初版部数は絞られる傾向にあります。

さらに、書店さんからの注文数が考慮に入れられます。
販売営業が注文表を作成し、ファックスやメールで送ったり、
書店さんの担当者や各書店チェーンさんと交渉して注文を取ります。

出版社によって注文受注を始める時期は異なりますが、
おおよそ発売日の2~3カ月前からスタートするのが目安です。
もちろん、早ければ早いほど越したことはありません。
注文は基本的に返品できないことになっています(今はこの原則がほぼ崩れてしまっていますが)。
注文が多いということは、実売部数が予測できるということなので、出版社にとっては嬉しいことなのです。

さらに、著者の方の宣伝力・拡散力はどのくらいあるのか、
応援団的存在の方がどのくらい動いてくれるのか、
はたまた著者の買取はあるのか、などの要素が考慮されます(買取は別項で説明します)。

ビジネス書・自己啓発書・実用書の分野においては、
どんな有名な作家や著者の方でも初版5000部は、多いほうです。
7000部、1万部と聞くと、「かなり多いな」と思ってしまいます。

初出版の方や実績がない著者の方でしたら、
初版2000部、3000部スタートが当たり前になっています。

日本全国で書店さんは1万店を切っていると言われていますが、
3000部では1店1冊だけ配本されるとしても(そんなことはまずないのですが)、
残念ながら全書店には行きわたらないというのが実情です。

どの出版社でも初版部数を決める際は、かなり悩みます。
多く刷りすぎて、大量に返品されたら困る。
かといって、少なく刷りすぎて注文に対応できず、
在庫切れで売り逃しという事態は避けたい。

編集サイドは多く刷ってほしいと思いますが、販売はシビアに判断する。
毎回、新刊のたびに少なからず攻防があります。
編集は4000部、販売は3000部を主張する。3500部で手を打とう。
こんな風景は日常茶飯事です。

「重版」という言葉を注文書や宣伝に使いたいために、
あえて初版は少なくする
という高等(?)戦術を使うこともあります。
著者も編集者も嬉しい「重版」に関しては、次回お話しましょう。
ではでは!

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