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【書評】 『13歳からのアート思考』 末永幸歩

アートというと表現された作品のほうばかりに目が(あるいは耳が)いってしまいますが、アートの本質はそこじゃないんだよ、というお話。

おそらく著者の言いたいことは下の図に集約されていると思うのですが、大事なのは土の上に見えてる花(作品)ではなく、土の下の、タネとか根っこの部分であると。興味のタネから出た根を下へ下へと伸ばす活動、そこにある興味関心を育て探究すること。それに伴う思考がアート思考です。

土の下はいわば自分の内面で、自分の内面を表現した結果生まれるものが、アート作品です。作品には上手いも下手もない。いいも悪いもない。ただ頭の中や、体や精神の内面にある何かを表現した、というだけです。

アート思考は、アートだけではなくあらゆる分野に通じるものであり、この思考(姿勢?)を身に付けることによって、あらゆる場面で発想の幅が広がります。

本の中では、アートを鑑賞するときの、ものの見方、観察方法というようなテーマも扱われています。観察力が上がると、同じものを見た時でも自分の中に入ってくる情報量が増えます。それは自分の内面の根を伸ばすことにもつながります。

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さて、作品に上手いも下手もない、とは言いましたが、自分の内面を自分が感じているそのままの姿で表現できるかどうか、という問題はあります。表現物が自分のイメージとずれていたら、それは自分の内面を100%表現したものとはいえないし、だいいち表現してる本人としても満足いかなさそうな気がするからです。

頭の中に写真のように鮮明な映像がイメージできていても、それを紙に写真のように書き写せる人は少ないと思います。文章でも、思ったことを思った通りに表現するのって難しかったりしますよね。なので、自分の内面にあるものと、表現されるものを一致させるスキルというものがやはりあるんだろうなと思います。似たような話で、武井壮さんのお話を思い出します。こちらは運動の話で、自分の体を思った通りに動かす練習が必要、という内容なのですが、私はこのお話が大好きなのでご紹介します。あらゆるジャンルに通じる話だと思います。もしかしたら、こういう一見関係なさそうな話を他の分野に当てはめて考えてみる、ということも、一つのアート思考なのかもしれません(し、単なる思い上がりかもしれません)。


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