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読書記録「努力論」⑦

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

約2週間ぶりに、幸田露伴先生の「努力論」岩波書店 (1940)の要約を続けて参ります。

幸福は分かち合うこと

前回の記事で、「惜福」について書きました。福を使い尽くし、そして取り尽くしてしまわないことの意味で、自分が受け取った幸福や運気を無駄にすることなく使い尽くすことについて説いている。

露伴先生はそれと同じくらい「分福」の重要性についても説いています。言葉の通り、自らの幸福や富を他の人に分かち合うこと。他人と分かち合うこと自体が自らの幸せになることについて述べております。

そうなると、「惜福」と「分福」は表裏を成しているものと言えます。幸運や富は溜められるものであり、それを無駄遣いばかりしていれば、そもそも人に与えることはできません。一方与えるだけで自ら享受していなければ、満たされない気持ちが募り、見返りを求めるようになってしまいます。

また、富や幸福をもっぱら独り占めするする人もおり、他人には全く与えないという考え方は、実にケチである上に物悲しい生き方であるとも言う。

およそ人の上となりて衆を帥いるものは、必らず分福の工夫において徹底するところあるものでなければならぬ。

同著 71頁より抜粋

リーダーたるもの、与える精神を持たねばならない。

なぜなら、人は慈愛深いところに集まるのが心情というものである。たとえ与えたものが自分にとって些細なものだったとしても、与えられた人は自分に好意を持つものである。

料理を分けてくれた、お酒を一杯奢ってもらった、いい本を教えてくれた、素晴らしい人を紹介してくれた、楽しい場に招待してくれたなどなど、受け取った側からしたら、なんていい人なんだろうと考えるものである。

リーダーとして大きな成果や事業を起こすのであるならば、他ならぬ他力や協力者が必要である。その時に「あの人がやるならば私も協力します」という人が沢山いれば、何をするにも百人力であろう。

だからこそ平素から幸福は無駄遣いせずに、みんなと分かち合うことが大切なのである。それではまた次回!


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