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読書記録「ガリバー旅行記」

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

今回読んだのは、ジョナサン・スウィフト 山田蘭 訳の「ガリバー旅行記」角川文庫 (2011)です!

ジョナサン・スウィフト「ガリバー旅行記」角川文庫

・あらすじ
18世紀前後の英国 レミュエル・ガリバー氏は若い頃からいつかは海に出るのだという信念を持ち続けていた。医者になるべく医学を勉強する傍ら、航海術や数学、語学の勉強にも励んでいた。

船医として何度も航海を経て、いよいよ妻子と共に落ち着いた生活を送ろうかと思っていたが、やはり海に出たいという意欲を捨てることはできなかった。

1699年5月4日ブリストルを出港した船は、暴風雨により航路を大きく逸れた挙げ句、船は岩にぶつかり難破してしまう。命からがらとある島にたどり着いたガリバー氏の前に現れたのは、身長15センチにも満たないリリパットの国であった。

その後も航海に出ては悲惨な運命をたどるガリバー氏。巨人が住まう国 ブロブディンナグ、空に浮かぶ島 ラピュタ、日本、理性を持つ馬がヤフー(人間)を支配するフウイヌム国を渡航した記録を記す。

池袋は東京読書交換会で、かれこれ1年くらい前に頂いた本を、今になってようやく紐解いた次第。

ガリバー旅行記といえば、小人に身体を縛り付けられるシーンが有名である。だが内容はほとんど知らないし、むしろ大人になってから読んだほうが面白いと思えることばかりである。

デフォーの「ロビンソン・クルーソー」も、無人島を通じて人間社会を俯瞰するが、それに通じるものがある。「ガリバー旅行記」の場合は、人間の愚かさをだいぶフォーカスしがちではあったが。

というのも、この旅行記では、レミュエル・ガリバー氏が実際に経験した事実であり、真実のみを語ると宣言している。

そもそも旅行家というものは、異国のよい例、悪い例を世に紹介し、そこからさまざまな教訓を学んだ人々が、より賢く、より善良に生きていけることを第一に願うべきではないだろうか。

 同著 444頁より抜粋

ガリバー氏が危惧していることに、そんな島や国は存在しないという批判がある。

刊行当時からすればそのような批判もあっただろう。しかし、皆さん御存知の通り、ラピュタは存在することを考えれば、今更驚くことではないでしょう。

勿論、それが存在するか否かは重要なことではあるが、ガリバー氏はその国に生きる人々がどのような信念のもと生きているか、その理性を、誠実さを、教訓を学ぶことがもっと大事なことだと述べている。

メタ的なことを言えば、あくまで著者の意見ではなく、様々な視点や切り口で我々人間について語るために、旅行記という形式を取っている。

小人から見た大きな人間について、巨人から見た小さな人間について、そして動物に支配された愚かな人間について。

語学が堪能なガリバー氏は、島々で君主や住民と会話する。自国の歴史や政治、そして人間とはどんな生き物なのかについて語るのだが、徐々に悪い点ばかり浮き彫りになっていく。

それはリリパットや巨人が、そもそも自国の民以外を知らないという前提はある。だが様々な視点から人間について語られていくうちに、人間の傲慢さや卑怯な心が露呈していく。

フウイヌム国にいる住民の言葉を借りれば、理性を持ち合わせているのに、正しく理性を使いこなせていないと。

だからこそ、他国の優れた民の考え方や教訓を理解し、少しでも誠実に生きるべきだと、著者は伝えたいのかも知れない。

それにしては、だいぶ人間卑下が強かったけれどもね。それではまた次回!

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