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読書記録「あまからカルテット」

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

今回読んだのは、柚木麻子さんの「あまからカルテット」文藝春秋 (2013)です!

柚木麻子「あまからカルテット」文藝春秋

・あらすじ
女子校以来ずっと仲良しの4人組。いつも控えめなピアノ教師の咲子、人目を気にする料理ブロガーの由香子、ナルシストでデパートの美容部員の満里子、完璧主義で出版社勤務の薫子。生まれも育ちも、考え方も全く違う4人組。時には衝突するし、喧嘩することもある。でも、困ったことがあればいつでも駆けつける、そんな仲良し4人組の短編作品集。

4人は「食事」にまつわる謎に遭遇する。たとえば、1作目の「恋する稲荷寿司」では、名前の通り稲荷寿司を通じた恋の物語。花火大会の時、咲子はある男性に出会う。宴会騒ぎで迷惑をかけたお詫びにと、差し出されたのが稲荷寿司。もう一度彼に会いたい、その願いを叶えるべく、その稲荷寿司を頼りに奮闘する友達3人の物語。

話が進むにつれて、仕事も恋愛も変わってゆく4人。それでも彼女たちはいつまでも仲良し4人組。酒井順子さんの解説でも述べていたが、「カルテットというのは、一人一人がソロとしても活躍できるほどの個性を持つ人の集まり」だからこそ奏でられる、大変楽しい作品でした。

柚木麻子さんの作品は「ナイルパーチの女子会」や「本屋さんのダイアナ」など、女性の怖い部分を描く作品もありますが、今回読んだ「あまからカルテット」はゆったりと読める作品です。

大人になっても仲良しな友達がいるのは、素敵なことだと思う。中学高校時代の卒業式、私たちずっと友達だよと言った約束はどこへやら、連絡先すらデータから消えた友達も少なくない。そんな中、友達が困っていたら駆けつける、苦しい時に励ましてくれる、そんな仲良しがいるのって、素敵なことだとつくづく思います。

けれども、四六時中仲良しというわけでは無い。時には喧嘩もするし、1人放っておいて欲しい時もある。完璧主義の薫子は、人の力を借りることを許せない性分。仕事に家事に押しつぶされそうになっても、3人に手を借りようとしない。それゆえに衝突もするし、口論にもなる。

でも、喧嘩別れすることなく、絶対に友達を裏切りはしない。それこそカルテットにふさわしい、仲間の姿ではあるまいか。

また、料理の描写が食欲をそそり、思わず食べたくなってくる料理ばかり。4人の成長を、美味しい料理を嗜みながら、味わってみてはいかがでしょうか。それではまた次回!

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