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著者の経歴ってチェックする?

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

先日の読書会にて、ビジネス書系の本を選ぶ際に、著者の経歴をチェックするかという話になった。

その人曰く、その話がどこまで経験に基づく話なのか、どれだけ権威や実績のある人なのか確認しないことには、その本を信用できないという。

以前お会いした人にも、"実績のない人"の本は読まないと決めている方もいて、読書術として「著者の経歴をチェックする」ことを、選書の基準に挙げている本も少なくない。

例えば、転職に関わる本を書いた人は、現在又は過去に転職エージェントに勤めているのか、それとも、これまで何度転職を繰り返してきた人なのかとか、そういう点を本を選ぶ判断にするらしい。

そりゃ同じことを言うにしても、私のような小市民が語る言葉よりも、ビジネスや実業界で成功している人の言葉のほうが信憑性が高いだろう。

だが個人的には、著者の経歴ってそこまで重要なのかなと思う。

それは著者の実績や経歴に何の意味がないというわけではなくて、ただどんな人(本)であっても、何かしら尊敬に値する点があるということだ。

そもそも、商業出版の書籍として書店に並んでいる時点で、何かしらの実績や知名度がある人であって、どんな本であれ学ぶべき点があるはずである。

無論、何か実用的・実学として、何を学びたいか明確に持っていることは重要だと思う。

本を読んだ後に、具体的なアクションにつながること、実際に仕事などでアウトプットできることは、本を読むべきメリットであろう。

とは言え、ヘルマン・ヘッセの言葉を借りれば、読書における重要な姿勢とは、どんな本に対しても虚心に、謙虚にいることだという。

どんな本にも謙虚に向かえば、たとえそれが現代短歌であっても、なんてことのない日常のエッセイであっても、何かしら得られるところがある。

実績のない人の本は読まないという姿勢は、極論、学ぶことや役に立つ情報がない本に価値を感じないという感覚になりかねない。

それが悪いわけではないが、知識や教養を高めるだけが読書の醍醐味ではないだろう。

だがしかし、詩から得られる語感や感性、エッセイから得られる自分以外の世界の見方、小説から得られる心情の動きなど、そういう感覚的なものは、実績があるなしに関わらず、どんな本からも得られるはずである。

それに、自分の本棚がそんな実績のある人の本で並んでいるのも、個人的には落ち着かない。何か自分の本棚じゃない気がしてならなかった。

本を読むからには何か得たいという(それこそ、時給換算的に元を取るような読書術)気持ちは分からなくもないが、ヘルマン・ヘッセの言葉を踏まえて、どんな本にも謙虚に紐解ける読書家でありたい。それではまた次回!

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