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読書を少々嗜みますの。

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

普段から言葉遣いには注意するようにしている。いつも使う言葉が自分を作り上げるという信念のもと、なるべくポジティブな言葉を意識している。

例えば「〜でいい」ではなく、「〜がいい」と言う。「とりあえず」ではなく、「まずは」と言う。細かいようではあるが、言葉はそれだけ影響を与えると思う。

それはさておき、最近加藤ゑみ子さんの「お嬢さまことば速修講座」ディスカヴァー・トゥエンティーワン (2017)を読み終えた。立派なレディーになりたいとお考えの方に、今日から使えるお嬢さまことばとその考え方を記す。

一番最初のレッスンが「恐れ入ります」の法である。一般庶民は何かしてもらうと、つい「どうも」とか「すいません」と言ってしまうが、そのような言葉遣いではお里が知れてしますこと。

確かに、お嬢さまは「恐れ入ります」を使うなと実感したことがある。

大学時代、一度だけ歌舞伎座に行ったことがある。地下にコンビニエンスストアがあるのだが、レジに並ぼうとした時、ちょうど着物を着た女性とタイミングが被った。

一応これでもレディーファーストは心掛けている。お先にどうぞと列を譲ると、非常にゆっくり、深々とお辞儀をなされた。あれは確かに「恐れ入ります」であった。

それが非常に印象的で、正直歌舞伎の演目よりも記憶に残っている。

なお、お嬢さまことばと言うと、高貴で高飛車(金髪ツインドリルだと尚良き)な上から目線な言葉遣いではないかと考える方も少なくないと存じ上げるが、実際には相手を高めるために用いるのが正しい使い方である。

お嬢さまとそうでない小市民的な方との違いは、「自分で自分の立場をつくろうと一生懸命になっているのが小市民的な方で、ご自分の立場は、相手がつくってくださるものとお思いになっているのがお嬢さま」

同著 126頁より抜粋

自分から丁寧な言葉づかいをするからこそ、相手もそれに答えようとしてくれる。先程の実体験で言うならば、相手が丁寧に対応してくれたからこそ、こちらとしても快く対応したくなるというものである。

コミュニケーションとは鏡のような関係なのである。自分から丁寧な言葉を使えば、相手もまた丁寧な所作をしようと心掛けてしまう。

先日読み終えた谷崎潤一郎氏の「痴人の愛」にもこんな一幕があった。

「わたくし?」
と綺羅子は云って、冴えた瞳をぱっと明るくして、
「ついこの間からですの」
「あたくし」
と、ナオミも相手の「わたくし」口調に釣り込まれながら、

「痴人の愛」126頁より抜粋

どんな方に対しても丁寧な対応をすれば、相手の方が萎縮する。お嬢さまたるもの、いかなる時でも悠長に、穏やかに話すのが大切である。

それでは皆様、ごきげんよう。

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