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読書会に"向いていない"本

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

今月の読書会は先月よりも順調に開催できている。リピーターさんがいることもあり、最低限の人数が担保されてきているのは、読書会を継続することに対する精神的負担を下げる。

もちろん、告知サイトを見て新規でいらっしゃる方も多い。読書会自体はじめての方は、どんな本を持ってくればいいのか悩んでしまう方もおります。

主催者の意図やテーマにもよるが、読書会には向いている本と、向いていない本がある。

私なりに思うのは、自分の考えを述べることができる本であるかがポイントである。

だいぶ前の話ではあるが、田中佳祐さんと竹田信弥さんの「読書会の教室」晶文社の出版記念トークショーを拝聴したことがある。

ちなみに竹田信弥さんは「双子のライオン堂書店」の店主で、2016年から読書会を続けている。一方の田中佳祐さんもボードゲームプロヂューサーの傍ら読書会を企画している。

その時のトークショーの質疑応答で、「読書会に持っていくのに良い本と悪い本はありますか?」と言うか質問があった。

だいぶ前の記憶なので定かではないが、良い本は小説や文学だった気がする。読み手により解釈が異なるものの方が、議論が活発化するという。

逆に悪い本は、「タイトル=答え」になっている本だと語っていた。

例えば、アンデシュ・ハンセンの「運動脳」サンマーク出版 (2022)では、ざっくばらんに言うと「20〜30分のランニング習慣は、脳の構造を変え、記憶力向上やうつ病抑制に繋がります」である。

運動することが脳には良い影響をもたらす、それに対して科学的な根拠や実験結果が記されている。なるほど、運動することは良いんだね、で話が終わってしまう。

そこに個人の解釈が介在しない。この研究データは間違っていますという話ならばまだ展開の余地があるが、大抵は「そうだね、運動は大事だよね」で終わってしまう。

勿論、その本が悪い本というわけではない。ただ、あくまでも個人の考えを述べる読書会には適していないだけである。

その読書会が要約力やプレゼンテーション力を鍛えるタイプならば、必要な情報とそうでないものの取捨選択が求められるこのような本はうってつけであろう(これらの能力は、仕事をする上では存分に役に立つ)。

ピエール・バイヤールの「読んでいない本について堂々と語る方法」筑摩書房ではないが、紐解かなくてもなんとなく話がわかる本はいくつかある。

ただ、読書会では「その本を読んであなたはどう思ったのか」が何よりも聞きたいことである。読まなければ感じることのなかった体験を聞きたいのである。

そのため、小説や文学あっても、長々とあらすじを話すのはいただけない。それを読んでどう思ったの?どうしてその本を紐解いたの?が薄いと、じゃあ何で紹介したのかと思ってしまう。

当然、ただただ珍しい本を紹介したいと考える人もいるため、一概に自分の想いを語るべきとは言えない。けれども、読書会に参加する人は、この人は自分では手に取らないような本をどうして手に取ったのか、気になるのだ。

ゆえに、正解のない文学や小説が好まれる。確かに紹介するのが難しいけれども、上手く説明することを第一義とする必要はないと思います。だって読書会には本好きしかいないのですから。

もしこれから読書会に参加しようとお考えの方がいらっしゃったら、是非参考にしていただければと。それではまた次回!

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