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読書記録「阪急電車」

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

今回読んだのは、有川浩さんの「阪急電車」幻冬舎(2010)です!

有川浩「阪急電車」幻冬舎

・あらすじ
阪急電鉄今津線 宝塚線と阪急神戸線をつなぐ6両編成の小豆色の電車を、今日も沢山の乗客が利用する。

物語は宝塚駅から西宮北口駅までの8駅間。実際の時間にしたらたかだか15分ほどの区間である。

ある男性は図書館からの帰り、いつも図書館で会う女性がなんと同じ車両に乗っていた。隣りに座った彼女は突如後ろを振り向き眺めていたのは、武庫川の中州に石で並べられた「生」の文字だった。

ある女性は宝塚ホテルから純白のドレスで乗り込んだ。結婚式の日に、新婦でもないのに真っ白なドレスを着た彼女。なにか訳アリと踏んだお婆ちゃんは孫に質問攻めにされる前に声をかける。

ある女性は彼氏とケンカばかりしている。別れようかどうかと悩んでいるとき、一緒に乗り合わせた女子高生の会話を聞く。なんと付き合っているのはナンパで出会った社会人であると。

前編は宝塚駅から西宮北口駅に向けて様々な出会いやご縁を。後編は同じ路線を反対方向からその後の物語を書く。短い区画の、偶然のご縁を感じる心温まる物語。

所用で訪れた神戸にて、ゲストハウスの本棚に置いてあったのを見つけ、改めて読んだ次第。

今の御時世 電車内でおしゃべりに興じたりする人は少ない。大体の人はスマホを見る、本を読む、音楽を聴く。
むしろ喋る人がいようものなら騒がしいだの、モラルが無いだのと思ってしまう(無論人様に迷惑を掛けるのはマナー違反であるが)。

ネガティブな話だが、一度電車の車窓から繁華街の火災を見かけたことがある(後日ニュースにもなっていた)。
大きな火柱と黒い煙が立ち込めていたため、立って本を読んでいた私はたまたま目についたが、ふと車内を見渡すとほとんどの人が気づいていなかった。

手元ばかり見ていたら、周囲の出来事に気づかなくなってしまう。

電車とは一種の公共の場であり、年齢や性別、価値観の違う人達が偶然乗り合わせる。

学生なら十数年、ご高齢の方なら数十年の人生がある。電車はその長い時間のほんの一瞬かもしれない。

その中には、あと一本早かったら、あと一本遅かったら起こらない出来事があったかもしれない。

でももしかしたら、毎日乗っている電車の中にも小さな巡り合わせがあるのかもしれない。

とは言え、物語のように急に電車内で人様に声をかける勇気を私は持ち合わせていないし、それこそ今の世の中SNSに晒されてしまうだろう。

手元ばかり見ずに、たまにはふと周囲を見渡すのも悪くない。すると小さな巡り合わせに出会えるかもしれない。それではまた次回!

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