フットボールの無い土曜日の前日譚【1】

突然入ってきた知らせ

もしかすると
社会人サッカーを観ていなければ
見逃したかもしれない

どんな感情なのか
自分でもよく分からなかった

*⋆⋅⋅⋅⊱∘────────────∘⊰⋅⋅⋅⋆‧*

思い出すのは
2005年
大好きになった選手が引退した

私をDF沼に突き落としたその人は
その２年前に大きな怪我をして
翌年出場機会が減ってしまっていた

ただ、それでも
更にその翌年は出場機会を増やして
〝帰ってきてくれたんだ〟と
思い始めたその年に引退した

確か柏レイソルU-18が初めて
天皇杯都道府県大会 千葉県決勝で勝利し
天皇杯への出場を決めたその翌日

Jリーグ通算300試合出場
対人で負けなしのいぶし銀の仕事人

これだけチームで
信頼を得ている選手でありながら
ただの一度も日本代表には選出されなかった

Jで300試合出場した選手で
一度も日本代表に選出されなかった選手は
その当時、史上初だった

それを〝そんな選手も格好良いだろ〟って笑い飛ばしていた人

私はその選手がとにかく大好きで大好きで

ゴールシーンを見逃す程に
DFラインしか見ていなかったし

相手が攻め込んでくる時を
寧ろ楽しみにしていた

そんな間違った（?）
サッカーの見方を楽しんでいた私にとって
その選手の引退は
太陽を失った瞬間だった

奇しくもその年
伝説のWハットトリックを喰らい
自分の応援するチームはJ2降格となった

石さんの作るチームは
明るく楽しかったし
チームのことは応援していたけれども

心にはずっとポッカリ穴

たぶん自分は
もう特定の選手に
思い入れることはないんだなって

大好きなDFラインを眺めやすいバックスタンドの席をやめて、ゴール裏に戻った

正直 女こどもは歓迎されない風潮は
若干まだ残っていて

でも負けず嫌いだから

強面のコアサポに文句を言われない様に

全力で
跳んで
頭の上で手拍子して
声出して

でも何より没頭したかったから

確かこのあたりから
恋人もおらず
関係ないけど
某○ャニーズグループにはまり
推しはタレ目が可愛い黄色担当 笑

ちょっとずつ
ポッカリ空いたままな穴の事も忘れかけてきて

いつの間にか何の因果か
浦和サポと結婚してしまって
他サポ夫婦だから天皇杯は1人で観に行って

たまにリーグ戦は付き合って貰って
浦和にはアウェイ遠征だけ行って

そこからまた何年か経って
妊娠して仕事を退職して

また天皇杯トーナメントの季節がやってきた