見出し画像

接待の問題は会食か接待かではなく、卵の価格や賃金が上がらない構造にこそある。


これは卵の価格が上がらないのは、われわれの賃金もまた低いままであるのと同じ構造なのでは?という考察です。


農林水産省の鶏卵生産大手「アキタフーズ」贈収賄事件


✅「アキタフーズ」の秋田善祺(よしき)元代表から現金500万円を受け取ったとして、元衆院議員の吉川貴盛元農林水産相が収賄罪で在宅起訴された汚職事件。

✅接待を受けた事務次官ら計6人が処分される。
✅野上浩太郎農相が閣僚給与1カ月分を自主返納。

そもそもの発端は、第二次安倍政権で自民党の「農水族」議員の西川公也元農水相が、「民主党についた養鶏協会は出て行け」などと言いだしたせいだという関係者の証言もあります。

最近は総務省の接待問題も盛り上がってますが、この証言が事実なら、安倍政権のやりくちは、発足時からすでにろくでもなかったことがよくわかる、とんでも発言ですね。


ところで、ほとんどの皆さんは卵を安い日に買っていませんか?

わたしも安い日にしか買いません。
これまでそこに疑問を持ったことはなかったのですが、考えてみれば、どうやって卵はあんな安い値段で供給可能になったのでしょうか?
ちょっとそこを考えてみました。


卵から孵ったひよこがニワトリになって卵を生むまでにかかる費用は、計算すれば結構な金額になるはずです。
主にエサ代、抗生物質や予防接種の費用、鶏舎の維持費、敷地にかかる費用など。
ニワトリが生んだ卵にも、洗浄や検査の設備費用、電気代光熱費、ケースの代金、輸送代もかかります。

卵の価格に影響がないということは、このあたりの費用も何年も変動してないのでしょうか?
そんな馬鹿な話はないと思うのですけどね。

普通に考えると、スーパーの卵も、地鶏やブランド鶏の卵と同等の価格であってもおかしくないはずなのに、スーパーの卵は大量生産体制のおかげで極端に安く供給されているし、安い日にはあり得ないような価格で売られているわけです。

「アキタフーズ」はもちろん商売で儲けるために政治家に献金したり、接待もおこなったのだと思われますが、それにはほとんどの卵が定価ではなかなか売れない現実も関係していたんじゃないでしょうか。
つまり、ずっと低価格が維持されるシステムがあるのではないかと思うのです。


スーパーの仕入れ価格がどうなってるかまではわかりませんが、例えば「毎週日曜日」を卵が安く買える日にすると、スーパーはおそらく毎週金曜か土曜に定期的に業者に大量発注することになるはずです。

とうぜん、スーパーと業者の間で「毎週のことだし、まとめて買うぶん安くしてよ」的なやりとりがおこなわれるのでは?

大量の卵を定期的に納品するためには、生産管理体制もそれに合わせる必要があり、そこには輸入飼料(エサ代)や有精卵を孵化させて卵を生むニワトリを扱う業者も関係してくるはずです。

トリの胸肉が安いのも、おそらく完全に無関係ではないでしょうから、この辺りまで来ると、関係業者は卵とニワトリだけでなくあちこちでつながっているのでは?


採卵用のニワトリも食肉用のニワトリも、どちらも有精卵を孵化させる業者が扱っている可能性が高い。
そこも含めたほとんどの業者が同じ輸入飼料を使っているとしたら、農水省が関わってくるのはおそらくこの辺りだと思うのですが…。

政府が輸入する安い飼料を使いたければ自民党を応援しろとか、民主党につくような裏切り者には分けてやらんぞ!とか…?

つまり、自民党が政権を奪い返したとたん、「民主党についた養鶏協会は出て行け」などとアホなことを言いだす、「どこのジャイアンだよ」と言いたくなるような族議員の言い分がとおってしまう構造があることこそが問題だと思うのです。

それに、そういう考えの人物なら、平然と献金を要求したり、受け取ったりしそうじゃないかと思いませんか?

トップが当たり前に不正なお金を受け取れば、その下も上に倣って、便宜をはかってほしければ高額接待ぐらいは当たり前と考えるのかもしれません。


ここで見落としてはならないのが、
卵が長期にわたって低価格で安定供給されている理由です。
官僚の接待よりも、こちらのほうがよほど重要です。

ガチガチに固まった需要と供給のシステムをつくり、低価格を維持させているのは何者か?

わたしはそこが根本的な問題だと思うのです。
わたしたちはなぜ卵の価格は上がらないと思いこまされているのでしょうか?
モノが卵なら「安いほうがいいじゃん」と思うかもしれませんが、日本人の最低賃金が低すぎるのも同じような構造のせいだとしたらどうですか?
日本の最低賃金が低い理由は、非正規労働者が多く、その層の賃金が低いからです。日本人全員が低賃金で働いているわけではありません。
しかし、ひとたび非正規職につくと、もうそこからは正社員として働けなかったり、非正規でないと働けない事情がある人々もいます。
また非正規労働者の多くは、なぜ賃金形態や待遇は改善しないと思いこまされているのでしょうか?

もしどこかの誰かが「非正規のほうが使いやすいし安くていいじゃん」とか思っていて、そのせいで待遇も賃金も改善しないのだとしたらどう思いますか?


平成の30年間で、先進国の世界標準から大きく後退した…というか、30年間ほとんど上がらなかった低いまま据え置きの日本の賃金は、卵の価格が上がらなかったのと同じような理由と構造によるものではないかと思うのです。

でもですね、コロナ禍でも収入には影響しなかったような職種では、30年間にちゃんと賃金はそこそこ上がっているんですよ?
世界標準からすればまだまだでも、非正規労働者の賃金のようにほとんど据え置きみたいなことはないのです。

非正規雇用者を筆頭にコロナ禍で散々な目をみている人々は少なくありません。
人件費を節約させ、賃金を上げないために非正規雇用を増やす仕組みをつくったのは誰ですか?

こうすれば物価も上がって給料も上がりますと大嘘をついて、物価や社会保険費用だけを上げて国民の負担を増やした張本人は誰でしたっけ?

いましたよね?そんなひとが。
不正が横行する仕組みをつくったのは…そう、あのひとです。

ひとつ言えるのは、現首相は前政権の番頭とも呼ぶべき官房長官の職にあったということです。
つまり、その当時から各省庁その他へ影響力をもっていたのではないかと思われるふしがあります。

その理屈でいくと、前総理も総理になる以前にはその役職についていたわけで、現総理が総理になる以前から影響力をもっていたとするならば、前総理の悪行も官房長官時代までさかのぼって考える必要があるわけです。

つまり、歴代最長政権の期間のみならず、それ以前から不正やごまかしに手を染めていたと考えれば、あの嘘くさい笑顔の裏側で何をやっていたのか知れたもんじゃないゾと思うわけです。

オトモダチを大切にすると評判だったあのひとは、オトモダチとお互いに庇いあって守られていたのでしょう。
だからあれだけ見え見えの嘘をついても、証拠を握りつぶしたり、公文書の偽装をやらかしても、尻尾をつかまれないまま逃げ切れたのだとわたしは見ています。

が、残念ながら、菅総理はそこまでしてくれるようなオトモダチを多く持ってないのかもしれませんね。
だから次から次へとヤバい事実が露見しつつあるのではないか…とわたしは見ています。

わたしとしては、今さら接待や不正が露見したってへっちゃらな連中を吊るしあげるよりも、卵の価格が倍になっても許すから給料も倍にしろ!と言いたいのですけどね。

2倍という数字に怯むひとは、30年という時間の経過を無視しているのです。
30年の間に時間をかけて上がっていれば、そのくらいになっていても不思議じゃないのです。
大学の授業料は30年前とはかなり違うはずです。大学職員の報酬も30年の間に増えているからです。

が、ここ数年の間に多少上がった分を考慮しても、現在の最低賃金の日本平均はざっと900円ぐらいで、30年前からたいして上がってはいません。
ここが2倍になれば非正規でもどうにかなるし、ならば卵の価格が2倍になるくらい平気なんですけどね。

というか、優遇されている正社員の報酬ではなく「非正規労働者の最低賃金」を雇用される側の立場で考慮する必要があると思うのです。
コロナ禍で休業したり、大型連休があれば、非正規雇用者の収入減に直結する仕組みをどうにかするためにです。

正社員ならば休業補償があるし、祝祭日で休日が増えても収入減にはなりませんが、非正規社員は休日が増えると収入に響くうえに、正社員と同じ仕事をしていても、賃金格差がひろがるばかりという仕組みをですね。

一見、卵とも接待とも無関係に思われるかもしれませんが、じゃあ牛肉、豚肉、鶏肉のうち、牛肉だけが妙に高級品に特化してるのを不思議に思ったことはないですか?
いろいろ事情はあるだろうけど、政府のどこかの誰かの主導でそういう仕組みができているのだと思うんですね。

「同じ仕事なら同一賃金」みたいなちまちました変革だと、「じゃあ仕事の内容を一部変更する」といった抜け道がいくらでも生じるので、そもそもの扱いの格差を是正すべきだという話です。

非正規雇用を使い捨ての労働力と位置づけ、企業がコストダウン目的で正社員よりも非正規社員を用いる仕組みはそれほど昔から確立されていたものではありません。
単発バイトのような「その時かぎり」の使い捨て労働力を、正社員と大差ない仕事をする非正規労働者にまで波及させる構造は誰がつくったのでしょうか?

おそらくこれもどこかの誰かの主導ですすめられたもののはずで、それによって得する誰かの意見が反映されているのではないかと思うのです。

ようするに、企業が会食の名目で接待をおこない、そこで政府関係者と「何かの談合」がおこなわれる構造を作っているのは誰かということです。

考えれば考えるほど、卵の低価格が維持されている仕組みと、待遇の良くない非正規雇用の割合が増える仕組みとは、どこかでつながっているような、そんな気がするのです。


長くなりすぎるので、予定していた総務省幹部が東北新社(菅総理の息子が勤務)とNTTから高額な接待を受けていた件の分は次回にまわします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?