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北極圏・ラップランドひとり旅 3日目

September 15, 2019
Helsinki - Rovaniemi

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トラムを待つ

まだ暗いヘルシンキの街を静かにトラムが走ってゆく。
14kgのバックパックと5kgのデイパックを抱え、雨の中を1km歩いてトラムに乗った。まだ朝の6時前だから乗客はほとんどいない。次の駅を知らせる自動音声も空の車内に響いてなんだか少し寂しそうだ。

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ヘルシンキ空港へ

中央駅で空港行きの列車に乗り換え、昨日買っておいたバケットサンドを食べる。リュックの中で少し潰れてしまったけど美味しい。空港で荷物を預け、7:50発の飛行機でロヴァニエミへ。

ヘルシンキは雨
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飛行機から降り立った瞬間、あまりに寒くて思わず「寒い…」と声が漏れた。ヘルシンキより明らかに寒い...。あれ、よく見たら雪も舞っている。9月に雪が見られるなんて!雪は好きだけどさすがにこれは予想外。
僕が目指すのはロヴァニエミからさらに北に行ったところにある北極圏の国立公園だ。ロヴァニエミでも寒いのに本当に大丈夫だろうか...。少し不安になる。

空港からは乗り合いのバンに乗ってロヴァニエミの街中へ向かった。本当はバスに乗って安く行きたかったが、空港の出口にはバスなんか停まっておらず、みんなこのバンに吸い込まれていく。地方空港だから飛行機の本数も少ないだろうし、飛行機と接続してるはずのバスがないということはこのバンに乗るのが正解なのかもしれない。バンの運転手に滞在するゲストハウスを伝え、席に座る。窓から眺める道路脇の木々はすっかり黄色く色付いている。秋だ。

僕の滞在するゲストハウスは少し大きな一軒家という感じだった。レセプションはなく、玄関にはオートロックの鍵がかかっていた。ドアには電話番号を書いた紙が貼ってあり、チェックイン時間以外はここに電話をするらしい。電話をするとすぐにオーナーらしき男性に繋がり、荷物を置きたいことを伝えると鍵が開いた。階段の下に荷物を置かせてもらい、とりあえず近所を散歩してみる。

緑あふれる街中。生活に近いところにリスがいる。

教会や街を散歩し、サンタクロース村へ行くためのバスを待っていると、アコースティックギターのハードケースを持ち、70Lぐらいあるバックパックにキャンプ用のマットを括りつけた同い年ぐらいの青年が歩いてきた。顔立ちを見ると日本人っぽい。彼も同じバスに乗り、すぐ近くに座ったので話しかけるとやはり日本人だった。

サトルは日本での仕事を辞めて世界一周の旅に出たばかりだと言う。路上でギターを弾いてお金を稼ぎ、そのお金で旅をするのだ。基本的に移動手段は歩きかヒッチハイク。寝泊まりはテントでしているとのことで、僕のこれからの旅の予定を話すとすぐに意気投合した。

サンタクロース村にて。北極圏に入ったことを示す目印が引いてある。

9月のサンタクロース村は閑散としていた。バケーションのシーズンではないし、サンタに似合う雪も降っていない。きっと12月になれば多くの人で賑わうんだろうな、などと考えながら、全く行列のできてない本物のサンタと話したりした。

サトルとはサンタクロース村で一度別れ、夜に落ち合う約束をして博物館へ向かう。
博物館には北極圏の生き物や環境、先住民族サーミの文化など幅広い展示があった。1年の半分が雪に閉ざされる土地で、彼らがどうやって食糧を得て暖を取ってきたのか。彼らの文化や価値観、暮らし方を知り、尊敬しながら歩きたいと思った。

伝統的なサーミの暮らし

夜、世界一周中のサトルと合流し、場末の酒場へビールを飲みに行った。ここまでの旅の話、これからの旅の話に夢中になってお酒が進む。
彼はこのままフィンランドを北上するらしい。秋の終わりのフィンランドはおそらくあと数日で本格的に雪が降り始める。ヒッチハイクと徒歩で移動する彼の足で、さらに寒くなるこの先の道が少しだけ心配になった。

サトルと。バーにはアルコール中毒者のような人もいた。日曜日の夜にバーでお酒を飲んでいる人が正常なはずがないな、と思った。

ここはサンタクロースが住む街、ロヴァニエミです。
フィンランドのちょうど真ん中ぐらいの位置にある街で、ここからいよいよ北極圏に入ります。天気が良いので、今夜はオーロラが見れるんじゃないかとワクワクしています。
サンタクロースの村では本物のサンタさんとお話ししました。「願い事はなんだい?」と聞かれたのでひとつだけお願い事をしてきました。どんな願いかは秘密です。話せばきっとあなたは呆れ顔で笑うと思うので。
まだ9月なのにこちらは紅葉がとても綺麗です。どこを見ても色鮮やかで、こんなに美しい紅葉は見たことがないかも。黄色い落ち葉の絨毯の上を、冬に備えてリスたちが走り回っています。

そういえば今日はとても素敵な出会いがありました!日本人のバックパッカーで世界一周をしている男の子です。彼は路上でギターを弾き、足を止めた人からもらうチップだけで旅を続けているそうです。彼とは向かう方向が同じなので、もしかしたら少し一緒に旅をするかもしれません。
次は国立公園歩きの出発点、サーリセルカから手紙を書きます。
それでは、また。

ロヴァニエミより

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