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ファシリテーションをトレーニングするための日常における5つの機会

多様なシーンで行われるファシリテーション。それは会議、ワークショップ、研修、日常のコミュニケーションと多岐にわたり、その目的も合意形成、相互理解、情報共有など様々です。
そのファシリテーションの知見を得るための書籍や学ぶ場所も以前に比べて増えていますが、ファシリテーションは実践こそがトレーニングであり、そのトレーニング機会を重ねていくことが熟達につながっていきます。
もしかしたら、そのトレーニング機会を得ることができないでなやんでいる方々もいるかもしれませんが、日常におけるファシリテーションのトレーニング機会をいくつか挙げてみますので、参考にしてもらえたらと思います。

これはWSD Advent Calendar 2022の22日目の記事です。

1. 会議設計(会議の前)

ファシリテーションの範囲は会議が始まる前から終わった後までです。その最初として会議設計があります。
会議設計の項目として挙げられるのが以下でしょうか。

・会議の目的とゴールの確認
・日時設定
・参加者確認、周知
・アジェンダ設定
・議事録準備、共有
・会議構成(プログラム設計)

会議の目的とゴールを確認のうえ、日時設定、参加者の出欠確認、参加者に日時/場所、そしてアジェンダの周知と議事録の共有を行う。ここまでが1セットです。
また理想的には、会議構成、つまり会議のアジェンダと各アジェンダごとの時間配分が記載された議事録を事前共有しておくこと。これではじめて会議の準備が整います。これは言い換えればファシリテーションの準備が整ったということになります。
ファシリテーションはその場で即興的に行われるイメージがあるかもしれませんが、事前準備があってこそ、ファシリテーションを発揮することができるのです。
事前準備ということでトレーニング機会としては取り組みやすいと思いますので、ぜひ試してみてください。

ちなみに、ゆめみMIMIGURIではこの事前準備がほとんどの会議で行われています。
また、会議(ミーティング)のデザインについてはこちらの記事も参考にしてもらえたらと思います。

2. 会議の始まりと終わり

会議の始まりと終わり、これはチェックイン/チェックアウトと呼ばれるものを行うことで会議に参加する入り口と終えるための出口をつくります。
それぞれの詳細については以下の記事を参照してもらえればと思うのですが、チェックイン一つでその会議の質は変わります。
そしてファシリテーションのトレーニングとして、どのようなチェックインテーマをつくるか、どのようにチェックインを進めるか、これは日常における絶好のトレーニング機会になりますので、チェックインによってどのように会議が変わるか/変わらないかを確かめながら実践してもらえればと思います。

また、会議の終わりとしてチェックアウトの前に、会議の目的を達成できたかどうかを確かめつつ、NA(Next Action)がきちんと設定することができたかどうかを参加者に確認することも大切です。

3. 会議の参加中

これはファシリテーターではなく、参加者としての機会ですが、ファシリテーションのトレーニングを行うことができるのはファシリテーターだけではなく、参加者としても可能です。
会議中にファシリテーターがどのように振る舞っているか、参加者がどのように反応しているか、また会議はどのように進んでいるかを観察すること。
そして、自分がどのように振る舞うことで、その場がどのように変化するのかを意識しながら行動する(発言する)ことは、自分自身がファシリテーションすることに間違いなく役立ちます。

これはファシリテーションする際もほぼ同様で、自分の行動がどのようにその場に影響を与えるか(変化を及ぼすか)を意識することと観察することは自分のファシリテーションを磨くために必要不可欠です。
そのため、ファシリテーションを行った後は、短くでもいいので、ふりかえりをすることをおすすめします。そのふりかえりの機会が自身のファシリテーションの経験学習となり、磨くこと(成長する)になるのです。

4. セミナーやイベントの参加中

これも参加者としての機会になります。
ワークショップではなく、視聴型のセミナーやイベントに参加している時に皆さんはどうしているでしょう。
このセミナーやイベントも絶好のファシリテーションのトレーニングの機会となります。
例えばオンラインイベントでチャットが使える時には、話されていることについての自分の問いを投稿してみてください。その問いに登壇者や他の参加者がどのような反応を示すのか(あるいは反応がないのか)、その行動もファシリテーションのトレーニングとなります。
話されていることについて問いをつくって、問いかける。この問いをつくること自体がファシリテーションのトレーニングですが、それをチャットに投稿する行動、そしてその反応を確かめることもトレーニングとなります。

5. 人と話す/聞く

これが一番身近なトレーニング機会になると思いますが、人と話す/聞く機会でトレーニングすることができます。
まずは相手の話を聞くこと。ただ聞くのではなく傾聴する。実際やってみるとわかると思いますが、人の話をただ聞くということは慣れないと難しいです。つい、相手の言葉に反応して自分の意見を述べたくなってしまう。
ですが、ここで自分の意見はいったん保留し、相手の話を聞くことに徹してから、相手に対して問いかけてみます。
また、相手と話す時も自分の意見はいったん保留し、相手から言葉や感情を引き出す問いを投げかけてみる。それによってどんな言葉や感情が出てくるかを確かめてみましょう。

人と話す/聞く時は、自分の意見を述べたくなりますが、それをいったん保留して、傾聴と問いを持って接することで、普段とは異なる側面を目の当たりにすることができるかもしれません。

ファシリテーションの知見を得る書籍や記事

ファシリテーションを扱う書籍はたくさんありますが、今回の記事内容に合わせた書籍をいくつかピックアップしてみました。

記事についてはCULTIBASEの「ファシリテーション」タグがついた記事が参考になるかと思います。
(動画以外は無償で閲覧することができます)

さらに興味が出てきましたら、Facilitation Radio(Podcast)も聴いてみてください。


今回挙げてみた5つの機会でファシリテーションをトレーニングしつつ、実践する。そしてふりかえる。
これを試してもらえたらと思います。

コーヒーを飲みながら書いていることが多いので、サポートいただけたらコーヒー代として使わせていただきます!