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相談難民な私たち

悩みはなかなか言葉にできない

誰しも、相談できない悩みを抱えています。
私にもあります。
誰が興味あるねん、と思いながらも書いてしまいますが、たくさん悩みがあります。

ツイートした直後、まみくろさん(Twitter:@mamikuro2019)からDMをいただき、感激しました。
「悩みを吐き出してみるだけでも、少し楽になるかもしれないよ」というあたたかい言葉に、冷凍カツオ寸前だった私の心は映画「アナと雪の女王」のエンディングの女王エルサのごとく解けてゆき、復旧したのでした。本当にありがとうございます。

今回、声を掛けていただいたことで、私は悩みを言語化することができ、気持ちが楽になりました。
頭の中を渦巻くような、一筋縄ではいかない悩みを解消するには、「言葉にする」「人に聞いてもらう(相談できる)」というのが大きいんだな、とあらためて実感しました。

「言葉にできる」ということ

悩みの真っ只中の頭の中は、問題自体への嫌悪感、解決策のなさに対する絶望感、自分自身への失望など、ネガティブな思いが複雑に入り乱れている、まさにバトルロイヤル。

これが、「言葉にできない悩み」の心理状態です。悩みにフォーカスするあまり、周囲が見えにくくなって、まともな判断ができなくなり、ミスが増えて、悩みとストレスが追加される悪循環が始まります。

この複雑な心理状態は、自分の精神的・肉体的なリソースを大量に消費します。
いわゆる、気力・体力と言われる活力源が乏しい
中で、「言語化する」という負荷の高い作業を行うのは、至難の業だと言えます。

私の「悩みバトルロイヤル」の状況は、おかげさまで、今はだいぶ悩みとの距離が取れて、精神的な間合いが測れてきたので、落ち着いてきました。
11月に短いnoteを書いた頃は、同時多発的にキツい知らせに複数のトラブル、環境の変化などが重なり、カツオのカラータイマーが、ピコンピコンと点滅していました。

悩みに関するツイートができたのは、自分の中で一定の気持ちの整理がつき、自分自身を客観視できるまでにメンタルが回復したからだと推測しています。

このように、悩みの渦中から一歩抜け出て、自分を客観視できる状態になってようやく、他の人に相談できるようになるわけです。

そうすると、世の中には相談できない状態の人の方が多いんじゃないだろうか、という仮説を思いついたのでした。

相談難民な課長職

上記の「相談できない人は予想以上に多い」という私の仮説を裏付ける、興味深い記事がありました。

「課長の仕事に関する実態調査」(株式会社タバネル)によると、精神面の悩みを上司に相談できる課長は27%であることがわかりました。

このレポートでは、課長職の人が抱える問題を次のように分析しています。

企業において経営と現場を繋ぐ要とも言われ重要な役割を果たす課長は大きな負担を感じているにも関わらず、精神面の相談相手は社内に少なく、人事部門からの支援も十分でないことが分かりました。そして、課長に昇進したにもかかわらず成長、楽しみ、やりがいが昇進前に比べ感じられていないです。

「課長の仕事に関する実態調査」より

「大きな負担を感じている」
「精神面の相談相手は社内に少ない」
知り合いの課長職の人と話していると、社内外問わず、同じような悩みを抱えているという声が聞かれました。まるで、「相談難民」だねぇ、と。

「仕事で『相談できない』のは、キミがそう思い込んでるだけだ」というご指摘を受けたこともあります。

人は悩みが発生すると、しばらくはその悩みで頭が占有されます。その後、少し時間が経ち、悩みとの間合いが測れて、悩みを時系列で言葉にできていくようになります。この過程の中で、悩みの元となる問題への解決の糸口が見えてきます。

この流れにおいて、悩みを言語化し、自分以外の人に聞いてもらうのが「相談」ということになります。

ここで、大きな転換点が出てきます。悩みは自分一人だけですが、相談には自分以外に最低一人以上の「相談相手」が登場します。この相談相手という自分以外の人が「相談」のキーパーソンになります。仕事では、部下から上司に相談するパターンが一番多いと思われるので、この場合、部下にとって上司がキーパーソンだと言えます。

上司も、マネジメント層対象の研修などで「部下から相談を受けるのも大切な仕事だ」と教えを受け、現場で実践を試みます。

部下との円滑なコミュニケーションは仕事の成果を上げるためには不可欠なので、「なんでも相談してほしい」と部下に呼びかけます。

しかし、部下としては、自分の中で整理ができていない状態で、自分以外の人の時間を使ってしまうことには抵抗を感じます。
相手の時間をムダにしてしまうのではないか、ということが気になります。

上司は忙しいです。その忙しい上司が自分に時間を割いてくれるのは有り難い話です。
だからこそ、準備が整わない状態で相談には行けない、と自分にプレッシャーをかけてしまいます。そのまま時間がズルズルと過ぎて、相談のチャンスを逃してしまうこともあるかもしれません。

そもそも、上司とウマが合わず、最低限の報告以外は話したくない人も少なくないと思います。

例えば、以前、私が若手の頃にお世話になった上司は、私との面談の時に、次のような話をしてくださいました。

「カツオ君、何でも相談してほしい。相談してくれれば、責任が上司である私に移る。すると、キミは仕事しやすくなる。実はね、ボクは上司(部門長)とソリが合わない。あの人は責任を取ってくれない。自分の内心を吐露する相談など、もってのほか。だから、いろいろシンドイんだ。悩ましいね。部下も上司もお互いを選べない。サラリーマンだから、折り合いをつけていくしか無いんだよね」

悩みを相談する話が、相談できない悩みになってしまう。根深い話だと思いました。

このように整理すると「相談」が出来るというのは、レベルの高い話なワケです。

しかも、部下の気持ちの分かる心ある課長であれば、なおさら、課長を束ねる自分の上司への相談はしにくいものです。

そして、忙しい上司は、いつ行っても席に居ないなど、相談の時間をもらうことすら難しい場合もあります。

さらには、私のかつての上司のように、自分の上司との信頼関係が乏しく、相談者にとって相談する意味が見出せない場合は、相談に行く回数が少なくなることは必然的です。

私もマネジャーになって3年ほどになりますが、幸い人間関係には恵まれており、家族の病気などの個人的な相談から、悩み事も含めて相談しています。
そうは言っても、上司への相談には気を遣います。忙しい上司の時間を使うわけですから、上司が最短で判断できるように準備してから臨みます。
上司の時間を大切にすることは、マネジャーとして求められるヒューマンスキルの一つだと考えています。(私が勝手に構えているだけかもしれませんが)

一方、私のチームのメンバーには、あらたまった相談というより、もっと気楽に、日頃から思いを互いに言い合えるような人間関係づくりを心がけています。
誰に相談しようか?となったら「とりあえずカツオ氏に話してみるか」と思えるような、心理的安全性の高いチームでありたいと目標を掲げています。まだまだ道半ばです。

「人間関係」のリスキリング

「リスキリング」がブームになっていますが、礼儀、日常的な声掛けなどによる、地道な人間関係のつくり方や、コミュニケーションツールが多様化する中での人間の心理などの「人間関係」全般について、肩書きや職種を問わず、リスキリングが求められる時代になってきたと感じています。
相談のハードルを下げ、相談できる人を探し求め続ける「相談難民」が減り、問題解決の先にある、幸せがもたらされる組織やチームとなることを目指して。

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

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