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手前味噌はウマい

「ボクは天才やな」
調子が良いとき、仕事場でつぶやいてしまうことがあります。

画期的なアイデアが頭に浮かんだり、
表現しにくい文章がうまくまとまったり、
重たい会議を無事乗り越えたり。

自分で自分を励ますというよりは、
シンプルに自分の力を出し切れたとき、
あるいは自分の実力以上の成果が出たときに、
一瞬、全能感に浸ります。

全知全能のカツオをちょっと味わった日の翌日。

一夜明け、落ち着いて成果物を見ると、昨日はあんなに輝いて見えた文章や成果は、さほどでもないように思えます。

あまり調子に乗ってはイカン。
やはり、天才ではない自分を思い知ります。

手料理、文章、仕事の成果…
我が子が可愛く見えるがごとく、自分の作ったものは、手前味噌ですが、とにかく良く見えます。

手前味噌という言葉を辞書で調べると、「自慢」と書いてあります。
自信満々の自慢の成果。
手前味噌は、美味いのです。

このような「自分の仕事が良く見える現象」について、最近読んだ漫画で、感銘を受けた作品があります。

「ゾワワの神様」という漫画です。
元大手広告代理店コピーライターの漫画家、うえはらけいたさんの作品で、広告制作現場のリアルな日常が描かれています。

この「ゾワワの神様」の第4話、C名さんの言葉が深いのです。

C名さんは言います。
「自分の作ったものは、うんこだと思った方がいいよ」

えっ…!
どういうこと?
そんなに自分の仕事はショボい?

この言葉を目にした瞬間、主人公と同じ距離感で、あたかも自分の目の前で言われたかのように、ガツンと衝撃を受けました。

しかし、早合点でした。
C名さんは「うんこ」を例に、自分の仕事が他人にどう受け止められるかを次のように表現しています。

どれだけ客観的に見ようとしても
自分から出てきたものは
本能的なレベルで
ひいき目に見えてしまう

ゾワワの神様 第4話より

そうかそうか、そうなのか。
自分が作ったものが、人にどのように見えるか。

自分の子のごとく、手塩にかけた自分の仕事。
そのかわいい仕事に、厳しい評価を受けたとき。

他人は自分の仕事をひいき目には見てくれない。自分には良く見えている。

そのギャップをしっかり認識していれば、必要以上に落ち込まないで済むんだな、ということを学びました。

日々、自分の創造性が人の評価に晒されるコピーライターの人の言葉には、説得力があります。

このように示唆に富むエピソードがたくさん読める漫画「ゾワワの神様」は、新刊が発売されています。職場で仕事が煮詰まったとき、繰り返し読みたいと思ってます。

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

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