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あなたのセンター(中心)はどこ?~留学をすると知りたくなる日本のこと~

Building Bridges and Community Day

 2019年の秋、留学していたアメリカの大学(Centre College)で、"Building Bridges and Community Day" という、先生、職員、学生が各々のパッションや経験を共有し語り合うイベントがあって、そのセッションの一つを持つことになった。自分が開いたセッションでは、自分や他の日本人の留学経験や考えを発表し、ディスカッションする内容にした。積極的な参加と自己主張が求められるアメリカの教育環境や日々の生活が、いかに日本人にとって衝撃であるか、といったエピソードなどをベースに、参加者同士の経験を共有する構成にした。
 セッションは、ケンタッキー州東部・アパラチア地方出身の女子学生と共同で行った。アメリカ国内の文化は多様で、少しググってもらうとわかるように、アパラチアという地方は、多くのアメリカ人の眼には異質な場所に感じる場所だ。彼女には、そんなアパラチアから出てきて、「大学という都会的な環境に身を置くことがいかに慣れないものであるか」を語ってもらった。

「日本人は宗教的か?」

その時のセッションで僕がエピソードの一つにしたのが、「日本人は宗教的か否か」という話である。
 
 アメリカには「宗教的な」人が多い。人口の6割が毎週教会に行くというのを聞いたことがあるし、中規模以上の街に行けばイスラム教のモスクやユダヤ教の教会もよく見かける。そんな、宗教が身近に存在するアメリカ留学を経験して、自分の宗教観、倫理観・人生観を考えることが増えたように思う。
 日本人はよく「私は無宗教です。」というが、実際には多くの人が、お盆の墓参り、神社の例大祭、正月の初詣などを宗教的な慣習として実践している。日本人が「無宗教」という時の「宗教」には、どこか「絶対的な神の存在を信じること」というニュアンスがあるらしく、「私はそういう意味での宗教を信じてはいません」と言っているに過ぎないと思う。
 
 「宗教」の定義は実際にはもっと多様であり、宗教学の観点からすれば、日本にも立派に宗教は存在している。
 
 僕自身はアメリカの留学を経験してから、自然との調和を大事にする神道的な価値観、「わびさび」、モノを大切にする精神などを再認識し、より一層大事にしていきたいという思いが強くなった。

留学で自分のセンター(中心)をさがす

担当したセッションのタイトルは、“Where is your center at Centre?”「センター大学でのあなたのセンター(中心)はどこ?」とした。

文化の異なる環境に身を置くと、自分の価値観、物事に対するスタンスを再認識し、変化を迫られる時もあるし、逆に変えることなく大切にすべき「中心」を見つけるように迫られるのだ。


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