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穴ぐら暮らし2~このあとのバリア~

 緊急事態宣言もひとまずは解消して、少し元の生活に戻れるようになった。私自身もこの穴ぐら暮らしはとりあえず終わり、ということで。
 世界のいろんなところで、おうち時間を有意義に過ごすサービスやアイディアが次々と登場し、過去最高に快適なひきこもり生活を送っていた。本当に家から出ずにできることが増えていく。あー最高!

 個人的にありがたかったのが、YouTubeで放送されるライブ。様々なアーティストが試行錯誤しつつ配信をしてくれるので、存分に家で楽しめる。もちろんYouTubeがあっても現地で行われるライブに行かなくてもいい、なんて気持ちになることはないが、他人に気を遣わず好き放題あーだこーだ言って、お酒や食べ物も自由に口にして。さらにお手洗いも自由なときに。これはこれで楽しいので、気になるアーティストのライブ配信は積極的に見ていた。
 過去の旅行動画も見ていて楽しかった。適度に出かけたい欲を満たしてくれ、さらに「あ、ここいいな」って場所があると、いつか行ってみたいなという目標が生まれたり。

 いろんなお店も再開され、街には少しずつにぎわいが戻ってきつつはあるが、私の気持ちは一概に楽しみだ、というだけではない。状況が改善の方向に向かい、やれることが増えるのは喜ばしい反面、なんだかため息をつきたくなるような、ほんの少し曇ったところがあるような。

 堂々と引きこもりができたことが、自分で思っている以上に気持ちの部分で守っていられたようだ。徹底的に自分の楽しいことに目を向けられる。こんな生活が終わる、となり「ああ、人と会うんだ」と思うと途端に気持ちが重くなった。忖度というか、気を回すことに疲れた。けれど気持ちの距離感というか、適度なバリアの張り方を忘れかけてしまっている。
 本当のことを言うと家で仕事できるようになったらいいのに、と思っている。当たり前に電車に乗って、当たり前に出社する。当たり前と思っていたから何も感じていなかったが、家や自分の望む場所で仕事をしたい、その部分さえも自由でいたいと気付いてしまった。

 常識とされることを問題なく行うのに、気付かぬうちにどれほど心を砕いていたか。

 バリアを張らずに心のやらかい部分を丸出しとなった状態で、これからどうするつもりなのか。新たに見つけた希望も含めて。

 思わぬ気持ちの動きにまだ対処する術は見つからぬまま、6月を迎え社会に戻ろうとしている。どうしようかな。

 文章の勘も、すっかり鈍ってしまって。煮え切らないなぁ。こんなふわふわした着地にするつもりなかったのに。

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