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誰が為に鐘は鳴る~挑戦は人生のスパイス~

※深夜に眠れなくて酔いながら意味の分からない話を書いてみました。誹謗中傷はなしで!!www

『挑戦ってなんかまぶしい』

僕は彼を責めることが出来なかった。
自分に言われているようで言葉を失っていたのだ。
『俺、会社辞めようと思う。何か社会の歯車の一つで悲しくなるし、何か自分何の実力もついてないしさ』

この時、いい大人ならなんというのか。『じゃあ実力付けてから辞めれば?』『皆同じ気持ちだよ。歯車の一つになっても楽に生きれるからいいんじゃないの?』

でも、僕は何も言えなかった。自分も同じことを思いながら、社会の歯車として生きようと思っていたからだ。
それが悪いとは思ってなかった。だって、自分に自信がないんだから。

でも、彼がうらやましくも思えた。
この世界では、思っていることを口にしても馬鹿にされたり、無視される。特に20代はその流れが顕著だ。そりゃそうだ。20代で社長や何億円も稼げる人なんて一握りだし、そんな人は考え方が違う。

だから、大半の人はリスクの少ないほうを選んで、会社員という抜けられない沼に入るのだ。そして、そこで安定し、抜けることが出来なくなって、沈む。
これが世のセオリーだ。何も間違っていない。

でも、僕は彼が羨ましいと思ってしまったのだ。だが、真似はしたくない。
失敗したとき、自分が損をするからだ。

彼はその後、東京に旅立った。僕もほどなくして東京に異動を言われて、東京に行ったが、彼の姿はもうなかった。

彼はすぐに会社を辞め、地元に帰っていたそうだ。
『それ見た事か。やっぱり挑戦や転職なんてするもんじゃない。』
と同時に彼が心配になった。
うぬぼれかもしれないが、自分はちゃんとした職で大手企業。
世間的に見れば間違いなく勝ち組に当たる。

でも、彼はそこから自分から出ていって、今は地元にいるのだ。
もうキャリア的には厳しくなったろう。少し自分の事が誇らしく思えた。
挑戦せずに大企業でいることがやっぱり正解じゃないか。と。

優秀な私立大学や国公立の人は大企業を目指す人が多い。
何故なら、優秀な学生にのみ許された狭い門だからだ。
そして、大企業も安定ではないとは言われているが、中小企業やベンチャーよりはるかに制度が整っている。給料、福利厚生、職場環境、名声。

何も不満はない。辞めるほうが頭がおかしいのだ。
同僚だが、この時はさすがに『バカだな』と思った。

もちろん大企業であっても、一人のサラリーマンで問答無用で転勤や、出向等はある。
しかし、違う場所に行ける楽しみと思えば、何も怖くない。

こう考えれば、彼はなぜやめたのか。理解が出来なかった。
そして彼は失敗した。

彼とは連絡を取ってなかった。だから今はどこで何をしていて、どうしているのだろう。
興味はあったが、連絡はしなかった。

20代は誰でも焦る。人生100年時代の中のたった10年。しかし、多くの20代はこの期間でキャリアが決まると思い、生き急ぐのだ。
だが、少し立ち止まるとそれが必要なのかと感じることがある。

大企業にいても、休みの時に自分のスキルを高めればいい。
職場環境が悪いなら、自分が結果を残して意見を言える立場になればいい。

自分の立ち位置をよく理解も出来ずに、走り出す人のなんと多い事か。
30代でも40代でも結果を残している人は他の企業から誘われるのだ。
20代は確かにやり直しがきくのかもしれない。

だが、私は『隣の芝生は青く見える症候群』でしかないと思っている。
一歩外に出れば所詮狭い目線で見た20代。
失敗の可能性が高いのは明らかだ。
で、あれば今この場にとどまって安全圏で暮らすほうが有意義であるのは間違いない。

僕は動かない。何があっても。それが一番安全だからだ。

でも、どうしても心のどこかにある思いが『彼が羨ましい』という事だった。
今までの言葉を覆す気はないが、挑戦を彼は行った。

その結果が失敗であれ、成功であれ、彼は挑戦したのだ。
挑戦しない人生を選ぶのにも勇気がいるが、挑戦するのはもっとリスクがある。

でも、彼は辞めたのだ。僕は彼の能力や、その話す能力、組織で目立つ存在感を高く評価していた。女性陣の受けもよく、僕には出来ない事を彼は平然とやってのけた。
ある意味、変わっていると言えるが、なんとも素晴らしい能力だと思えたものだ。

だが、彼が地元に戻ったのを聞いて、勝った気がした。
別に勝ち負けではないのだが、優越感を私の心がむしばんでいた。

きっと、他の人は非難するかもしれない。
しかし、私は彼にどこかで失敗しろと願っていたかもしれない。

何故なら、挑戦していく姿はやはり素晴らしいと思えたからだ。
私の会社の離職率は3%程度だろう。それくらい辞めてから後悔する人が山ほどいるが、素晴らしい会社だ。挑戦するのが馬鹿らしく感じる。

だが、もう一人の自分が頭を殴るのだ。
せっかく生まれてきた20代。それでいいのかと。
それでいい。と何度言っても彼は訴える。
『お前の人生それでいいのかと。』

これを読んでいる人たちは理解できないだろう。
私にも理解できない。だが、幽霊のように私に迫り、訴えるのだ。

彼は失敗した。しかし、彼が得たものは私が一生かけても手に入れる事が出来ないものかもしれない。
だからこそ、うらやましく思うのだと。

何が正解で、何が不正解かが分からなくなってきたこの時代において、挑戦はどんどん難しくなっている。
おとなしく殻にこもるのが一番いい。さあ、皆も一緒に・・・

やはり貴方もそっち側の人間か。道理で目がキラキラしているわけだ。
行ってみるがいい。後悔するぞ。
だが、誰も手に入れる事の出来ない人生を走れる切符は手に入るだろう。

私はそれが一番欲しいのだ。

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