マガジンのカバー画像

読んだことを忘れたくない あるいは読み返したくなるはずのお話

105
活字の海を波乗り中に見つけたお気に入りの記事を残しておく自分用の文集。本棚の片隅に並べて、その背表紙を眺めているだけで申しぶんのない時を過ごせるような小さな出会いの積み重ね。
運営しているクリエイター

2021年5月の記事一覧

自分にしかできないことは、きっと身近な人との関わりの中にある

「就活悩んでるみたいで、ちょっと相談乗ってもらえないかな?」 友人からそう連絡をもらって、就活中の大学生たちとオンラインで話すことになった。就活していたのはもう7年前。相談先、私で大丈夫かな。そう思いながらも、私も就活中にたくさんの社会人と話をさせてもらったし、これも何かの縁かなと思って引き受けることにした。 一言でいうと、彼・彼女らはとても賢かった。先を見据えて学部の選択をしていたり、将来やりたいことを実現するために一社目でどんな力をつけたいかを考えていたり。「ちゃんと

安全を最優先する日本社会が支払っているコスト

いくつかの国を経験しましたがおそらく日本は世界でも最も安全な国の一つだと思います。子供が一人で通学でき、落とした財布が交番に届けられ、警官が発砲しなければならないような犯罪の回数も少ないです。OECDの調査では犯罪の発生率は最下位(軽犯罪はスペインに次いで2位)です。 なぜ日本はこれほど安全なのか。いくつかの説明がなされています。倫理観に理由を求めるものもありますが、しかしかつて治安が悪い時代もあったのでこの説明では難しそうです。同調圧力が強いから監視しあっているという説明

三角関数や微分積分の教育は本当に必要か。

三角関数や微積分の有用性に疑問を投げかける政治家の話があった。それに対して私のTwitterのタイムラインでは蜂の巣を突いたようにこれらの有用性や美しさを表明するツイートで溢れた。しかし同時に疑問を湧く、若者の時間は貴重だ。大学はその希少性を理解しているだろうか。 この難題を考えるために、ブライアン・カブランさんの本「教育反対の経済学」を読んだ。ちなみにこの本の価格が4800円と高いし、それに負けず中身もとてもボリューミーだ。 この本の中身を紹介する前に幾つかの前提をみな

わたしが書きたいこと。

昨日、結局ライティングとはなにか、わたしがやりたいこととはなにか、ということで悩んで、病んでしまいました。 書くことができなくなってしまった。 少し仕事の手が空いたので、noteの下書きたちを完成させようと思った矢先のことでした。 よくあるライティングのスクールを運営されている方や、「ライティングで稼ぐコツ!」みたいなコンテンツを発信されている方の書くような文章を、果たしてわたしは発信する意味があるのだろうか、というように疑問を覚えてしまいました。 なんだろう。言葉に上

母親を陰謀論で失った

「覚えていることで、一番古いときの記憶はなんですか?」 これは精神科医が、患者の心理状態や考え方を学ぶためにする質問だそうだ。最初の記憶というのはその人の世界観の中核をなしている事が多いため、その人を知るためには役立つらしい。 私の最も古い記憶は2-3歳の頃だ。音楽が大好きな母とラジカセを持って、川沿いのベンチでカセットを聴いていた。 よく晴れていて母と一緒に音楽を聴いている時間が心地よかったのを覚えている。母が楽しそうに「これはサザンオールスターズっていうのよ」と教えて

弓道から学んだ気づきの習慣

何年経っても上達しなかった弓道、そしていつもDランクだった仕事の評価 「人生の目的は、人が決めるものではなくて自分で気づくもの」私は一人の師と出会い、師のくれた言葉の深さから人生を豊かにしていく術を知った。 13年前、たまたま目にした町のお知らせチラシの弓道教室。 それまで弓道を観たことも道具に触れた事もない全くの初心者。 大人になってからはじめた弓道だった。 周りの人たちは学生時代に弓道経験がある人ばかり、上達の差は歴然だった。 私は健康に役立つと思い趣味で遊びの弓道

【境界線】を超えた先にあるもの

4月に開講して、今回7日目・8日目にあたる「コーチング ブートキャンプ」(私が勝手にそう呼んでいるだけで、実際は「アナザーヒストリー プロコーチ養成講座第39期」というクラスです)では今回、コーチ自身が自らに設定してしまう【境界線】について学びました。 【境界線】というのは、その【境界線】の範囲内であれば「快適」と感じ、違和感なくものごとを進められるギリギリの線、といったイメージです。つまり、その【境界線】を超えようとすると、自分の「コンフォートゾーン」から出ていかなくては

手ぶらでネザーを冒険するように数学やると死ぬよ

これは自分と家庭教師先の少年との話。 少年は学校に友達はいるし、 親とも活発に話すが、 インドア派で先生には控えめで 口数が少なくなるタイプ。 勉強や授業は好きではないらしい。 でもYouTubeと動画編集が大好きで、 少年自身もYoutuberとして マイクラの実況を何よりの楽しみとしている。 同級生が塾に通いはじめ、 勉強ができるようになる一方で 少年は塾に行けない。 どうやら問題がわからなくて焦る姿や 問題を間違える姿を見られるのが 涙があふれるほどツラいら

すべてのライター・編集者必読の書

すんごい本が出ました。 おとといAmazonでポチって、昨日の午前中に届いて、さっそく読み始めたものの、冒頭の数ページで惹きこまれて徹夜で読み切った小説のような勢いで、476ページを1日で読み終えた。 それが、この本。 世界的ベストセラー『嫌われる勇気』のライターで知られる古賀史健さんが、3年がかりで書かれた新刊『取材・執筆・推敲――書く人の教科書』です。 昨日は昭和の日で祝日でした。 1日中雨が降っていたので、ちょうどいい「積ん読デー」ということで「よし、今日は読

期待をしない母

2014年09月30日 子供の時から僕は足が速かった。中学校に入り全国で1位になり、高校時代には世界で4位になった。最初はわあすごいねと言っていた母がその辺りから変わり始めた。食事の時に話をしても「大変だねえ」としか言わなくなった。「別にやめてもいいのよ」と言うときもあった。 僕にとっては競技をする事は、知らない所を見てみたいという冒険に近かった。こんなところまで来た自分を誇らしいと思う気持ち。自分は本当はどのくらいで走れるのだろう。自分に対しての冒険と、限界に対しての挑戦