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1人負けをした15年間(シンニホン)

今回は安宅さん書いたシンニホンの第2章の要約と意見を述べていきたいと思う。テーマは生産性である。

さっそく要約から始めていきたいと思う。この2章では日本が15年間で1人負けをしたことについて書かれている。その中でGDPが15年前と同じであり、また1人当たりのGDPが1990年から落ちていること述べられている。これは人口以前の問題ではなく生産性が伸びていない現実があると安宅さんが述べている。この生産性を伸ばす方法として安宅さんが著者の「イシュードリブン」をぜひ読んでいただきたい。2030年には1人当たりのGDPが東南アジアに抜かれる可能性も出てきている。それは単に人口減少だけが原因ではなく生産性が上がっていないのも要因の1つなのかも知れない。この生産性の差は海外と比べるとコマース産業で2倍、情報通信産業で3倍、農業で40倍以上の差が発生していることが読み取れる(詳しくは著書のグラフ参考)。今でも日本はデジタルの遅さが浮き彫りになっているが単にデジタルの問題だけではなくやるべきことをやっていないだけであると述べてある。生産性を上げる必要があることに気付いているのにもかかわらず、日本は生産性を上げることが出来ないのか。その理由は3つあると書かれている。

① 若者の3割の才能が見つかっていいない
② 女性進出の低さ
③ シニア層の増加と雇用の少なさ


この3つである。個別にみていくとまず若者の3割の才能が社会に貢献できていないことが挙げられる。それは若者に厳しい社会構造になっている。貯蓄ゼロ世帯が1990年から上がってきており、今は3割を超える結果となっている。その要因として最低賃金の低さが読み取れる。今アルバイトすると僕の地域とかは最低賃金が時給約850円である。この値段なら働く意欲がなくなるのは理解が出来る。さらに正規労働者と形作社員、パートの賃金差が激しいことも挙げられる。次に女性進出の低さである。これは森前会長の発言でも話題になったが、これは男性の家事時間が高度経済成長中の中国の半分で平均41分である。そのため女性が家事に多くの時間を必要としており、うまく働くことが出来ないことが述べられている。さらに女性のリーダー層が極端に少ないのも問題である。それは東京大学が示している。最後にシニア層の増加である。これは多くの職場が定年65歳で仕事を辞めるという社会になっていることが問題である。今はもう人生100年時代でありながら社会に貢献できていない高齢層が増加している。この3つの問題すべてにおいて共通の問題であると思うのは「上意下達」が一番関係していると思う。この年功序列によって若者、女性が立場の弱い存在となり、その人々の才能をうまく発揮できていないことが考えられる。さらにこの問題を解決するために安宅さんは教育を変える必要があると考えている。それは軍事国家のような全体主義教育ではなく欧米のような自由で個性を育てるような教育にする必要がある。また大学の論文数が欧米と比べると少なすぎることも述べられている(詳しくは著書4章参考)。特に計算科学の分野で非常に弱く、大学の選べる専攻が1つしかないことも問題であると述べられている。そのため計算科学を学ぶ環境を作りAI×データ社会になる必要になる。そのためには、
① さまざまところからビックデータが取れいろいろな用途に使えるようにする⇒日本国内でのビックデータ企業の少なさ、日本国民のデータに対する地盤の固さ
② 圧倒的なデータを処理する能力⇒電気代の高さ(輸送費)
③ さらに世界トップレベルのエンジニア、情報サイエンティストの存在⇒エンジニアの割合の少なさ(日本:23%、世界:30~60%)

この3つを達成するための課題は山積みにある。今はコロナの影響でデジタル化が進み始めているが、欧米にはまだまだ届かない状況である。このままだと先進国から中進国に落ちてしまう。そうならないためにはAl-ready化×多様性の社会に持っていく必要がある。Al-ready化とはすべての事業、産業がデータ×AI社会になっていいて業界そのものを変えるような仕掛けを作ることである。達成するには目標、人材、領域などすべてを変える必要がある(詳しくはシンニホン)。

この2章を読んでいくつか問題があると考える。まず、ビックデータを処理する企業を作ることはとても難しい。今はGAFAがトップに君臨している現状である。そして日本の生産性が伸びていないのは上意下達がほとんどの原因であると考えている。モノカルチャー時代は上意下達社会が最適解であったために1960年代から1980年代の高度経済成長で日本は成功した。しかし時代は変わり、有事しか起こらない社会に進むと瞬発力と行動力が必要になり、上意下達社会だと上のものが物事を決めていて、その上判断スピードが遅いため、巻き添えである若者や女性がうまく活躍できていない仕組みになっている。そのため一からバラバラにして中央集権モデルからの変化を図る櫃世があると思う。それが今の日本では不可能なため天災が必要であると考える。今はコロナだから何かしら変わるかもしれないが、2022年以降に2019年以前の社会が戻っているのなら、さらに衝撃の強い天災が必要なのかもしれない。


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