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【違う、そうじゃない案件】お酒の価格

とある社会福祉法人経営者が、「障碍者所得向上のために、耕作放棄地でお米を無農薬で育てて、日本酒造りました!でも、今までの価格だと儲けも出ませんし、労働者の賃金に反映できない。。。なので、今回価格を改定して1本5000円(720ml)にします!ぜひ買って応援してください!!
ってFBに書いてはりまして

あのね、どんなお酒と言えどもマーケットで売れる価格帯ってあるのですよ。そして、お酒に関して言うと、高いお金を出すならそこに求められる付加価値ってあるんですよ(それすら限界がある)

ただでさえ、無農薬栽培で収穫量が期待できないお米をさらに手間かけてお酒にして、ただでさえこの多くの人が物価高で悩んでいる人が多いご時世に、日本酒TOPブランドですら贈答用以外で動かない価格帯の5000円付けるってどういうことですか。そりゃ売れませんよ。だって「障碍者が頑張って作った」ということ以外付加価値が乏しいのだから。障碍者の方が頑張っても、(時間がどうしてもかかってしまうという意味で)生産性は悪いのですよ、、、ならば、付加価値が別のところで高まるようにプロダクトをデザインしなければならない。この手の障碍者支援に欠けているのはここのところなんよね。クッキーとか。いや、大変頑張ってるのは理解してますけど、、、

淡路島産規格外品の玉ねぎを障碍者があめ色になるまで炒めて玉ねぎペーストを作って販売している人がいたが、あれは、その方々だからこそそのしっかりと根気よく炒めるという作業ができるという特性を生かして、美味しいという付加価値をつけて販売することができた。こういう企画を考えることがデザイン。

支援を得たいと思うのなら、1件当たりどのくらいの寄付額なら皆さんしてくれるだろうか、その寄附に応えるためにはどういうものを作ったら喜ばれるか。

そこから逆算しましょうよ。日本酒ありきでやったからこんな結果になるのですよ。これで何とか頭下げまくって予定数売れたとしても、2度目はないですよ、買う方も。だって本来5000円だして買う日本酒の味のレベルかどうかといえば「(高い割には)普通」レベルにしかならないのです。結局委託醸造なんで味のコントロールなんてできない。全く持って効率的でない。障碍者に賃金を高く払いたいなら、そのプロダクトは、人が関わる部分以外はある意味徹底的に効率化して、その方々の特性が活きるような形で作らないといけない(でなければ人件費が払えない)。今回は、無農薬でお米を育てるというところでその方々が活動する仕事の場所を作ったということでしょうが、そこに価値が産まれないのです。だって無農薬栽培のお米で作ったお酒が市場で高く評価されにくいので。

それはではどうやって障害や雇用で高い賃金を実現するか。誰もなかなかできてないから賃金が上がらないのです。

商品開発の落とし穴「社会性が高いテーマのものは多くの人から指示される≠高く買ってくれる」ということを、もう少し多くの人が知ってほしいと思います。現実的にそういう社会性だけで飯が食えない。

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