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腐食した配管【短編小説・ショートショート】

『それでは皆さん、今日も一日、ご安全に。』

危険予知活動とツールボックスミーティングを終え、現場の統括者が作業員たちに声をかける。

本日の作業内容は、工場の配管検査だ。

先ほどのミーティングで聞いた話によると、長らく稼働していない私に再び役割が与えられるかもしれないそうだ。今日の検査結果から、プラントの安全性が評価され、適正であるか判断されるらしい。

なんと光栄なことだろう。
あの日のように、作業員たちと賑やかに過ごすことができるのかと想像したら、SUS304のステンレス鋼でできた配管が少しだけきしんだ。

しかし、私の配管は一部が腐食している。
小規模でも、事故は起こしたくないんだ。

「どうか、私の内面を隅々まで診てください。あらゆる些細な変化から気づいてください。頼みます。」

配管に流れ込んできた水の水圧でマグネタイト(赤さび)が、ごっそりと剥がれ落ちる感覚がした。

作業員たちの作業は、マニュアル通りに淡々と進んでいく。
作業員同士のコミュニケーションは良好だ。

だが、私と心を通わせようとする技術者は、まだ、いない。

どなたか、不安全事象に気づいてください。
「外側ではなく、内側をみてください。」



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