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「自分の言葉に耳を傾けてくれる人がいる」子どもたちにそう思ってもらえるように

2023年9月24日(日)、「ルールメイキング・サミット2023」が終わりました。このイベントでは、校則をはじめとするルールメイキングに取り組む中高生が全国から約100人集まり、自身の活動を共有・振り返ることで学びを得ました。

私はサミットの運営統括として参加。たくさんの方のご協力を得て、無事に今年もサミットが幕を閉じました。

サミットの準備を通じてずっと考えていたことは、「いかにして、サミットが子どもの声を聴ける場であるか」ということでした。

もちろん、校則に対してはっきりとした意見や主張があり、それを伝えられることはとても素晴らしいことです。ただ、サミットという場はopinionのある子どもだけで集まって、それを「すごいね!」と評価し合う場ではなく、子どもたちのviewsをともにみつめ・知り合うために対話する場にしたい。

「自分の言葉に耳を傾けてくれる人がいるかもしれない」「自分の声には力がある」という実感をサミットを通じて少しでも届けたいし、 “意見” じゃなくても言っていい。

子どもたちにとってはサミットが終わった後の時間の方が圧倒的に長い。だからこそ、これから子どもたちがそれぞれの学校・環境でルールメイキングを実践していくうえで役に立つ知識や知恵だけじゃなく、人とのつながりやエネルギーを届けたいし、それがルールメイキングを実践し続けていく土台にもなるのではないかなと感じています。

サミット前に招待生の高校生が、「私は中学生の3年間ずっと、校則に違反して怒られてきた。怒られるの分かってたけど。理不尽だと思ったから変えてやろうと思った」と話してくれました。

私が「正直、怒られるのってしんどいし面倒じゃない?なんで怒られるの分かってて違反し続けたの?」と尋ねると、「なんで違反しているのか、その理由を聞いてほしかった」と。

あー……こういうことだよな……

思っていても伝えられないことや、数年経ってやっと言葉にできたこと、子どもたちはいろいろな想いをもってルールメイキングに向き合っています。こういう言葉は、第三者だから、サミットという場だから、聴けることもあると思います。

サミットを通じて、私たちが生徒に直接教えられることは本当に少ない。でも、参加してくれた子どもたちがこれから知ろう、学ぼうというきっかけを届けたり、蓋がされたエネルギーを引き出すことはできるかもしれない。それが、「聴く」力だと感じます。

去年と比べて、参加する学校の層は広がって、参加してくれる生徒像もかなり多様になりました。サミットはルールメイキングの広がりを感じ、そこに共感し力を貸してくれる人が集まる希望を感じる場でした。でも、ここに来られなかった子どもたちがいる以上、拾われない声がたくさんあることも事実。
どうやってそこにアプローチできるのか?それは運営統括として考え続けなければいけないと、改めて感じさせられました。

同時に、地道だとしても、勇気を出して伝えてくれた子どもたちの言葉に耳を傾ける大人を増やしていきたいと強く思いました。

本当にたくさんの方が協力をしてくださり、実現することができました。正直、途中で「もうだめだ」と何回も弱音を吐きました。そのたびに、パートナーの先生方や、カタリバのチームメンバーに励ましていただきました。ありがとうございました。

そして、まだ歴史の浅いこのイベントに送り出してくださった参加校の先生方と保護者のみなさま、ともに学びの場を創ってくださったサポーターの皆様、企業ボランティアのみなさまにこの場を借りてお礼申し上げます。

また、来年!!

今回のコラム担当:藤本 雅衣子(ふじもと・まいこ)/ルールメイキング
1993年、愛知県豊田市出身。千葉大学文学部を卒業し、医療・介護領域で働く方向けの転職サービス (人材紹介・派遣) の会社でキャリアアドバイザー・法人営業として働く。大学生時代からの探究・キャリア教育の分野に携わりたいという思いから、2021年5月にカタリバへ転職。現在は全国の学校と連携して校則を見直す「みんなのルールメイキング」プロジェクトの事務局として、事業計画作成・予算管理を主に担当。その他、イベント企画や学校・先生からの相談業務に携わっている。
並行して2023年4月から、都内一時保護所でアドボケイトとして子どもの意見表明支援に関わる。

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