小説【 dreamers 】5
カフェから母と男が出てきたのは20分後だった。ふたりは一緒に歩き繁華街を抜け、英理は周囲にも気づかれぬよう尾行した。どこに行くんだろう。習い事とかかな。何か始めたなんて聞いてないけど、その先生とこれからその教室に行くのかも。
ふたりを見失ったのはスクランブル交差点だった。赤で止まった母が周囲を見まわし、英理は街路樹に隠れて背を向けた。深呼吸して動悸を鎮め、それから背後を窺うとふたりの姿はなかった。青信号で人々は動き出していて英理はその雑踏を縫って急いだ。こっちを向いて信号待ちしてたんだからきっとこっちにいるはず。
そう踏んで曲がった角の奥にラブホテルがあった。母と男はそこに入った。
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