レディオヘッド（RADIOHEAD） / The Bends ディスクレビュー

「闇に溺れず切り裂いてくれる」

このアルバムはレディオヘッド2作目のオリジナルアルバムである

「High and Dry」や「Planet Telex」や
「Fake Plastic Trees」などシングルカットされた数曲が収録されている

1曲目「Planet Telex」の開幕するぞっていうエネルギーが凄い
この曲でスタートする時点でいいアルバムだろうなと予想がつく
感情や日々のあれこれからこの曲で解放してくれるような気分になって
高揚させてくれる

次には「High and Dry」この曲はギターが良い
エレキギターの音もアコースティックギターの音も繊細で心地よい
ギターを弾きたくさせてくれる音だと思う
言いたい事ややりたい事を表現してくれていて
思い浮かべていたことが音になっていて嬉しい気持ちになる曲だ

そして「Fake Plastic Trees」この曲は聞けば聞くほど好きになって行く曲である
この悲哀は救いになる悲哀だし漂う空気が素晴らしい
聞く度にあーこの感覚というものをいつでも呼び起こしてくれる

他に残っている曲をあげるとまずは「Nice Dream」である
この曲はコード感に心がキュッと掴まれた
行きすぎたりやり過ぎたりしていないところも素敵である
こういう展開だと感情的になりやすい曲なのだがいいところで抑えている

最後に一曲あげるなら「My Iron Lung」をあげたいと思う
これはイントロのフレーズを聞くだけで最高である
この曲のどうしようも無い感じが好きでそこで無理に足掻かず
淡々と進んで行って適度に爆発するのが良いバランスである

このアルバムは完成度が高くて捨て曲がないと思う
あとは好みの問題というのがハッキリ分かる作品で
作り手側がやることはやり切っていて
ここからは聴き手次第だという所まで持ってきている

ただただ感情に任せてカオティックな訳ではないし
落ち着き過ぎて綺麗なものだけでもない
しっかり鬱々さもあるけれど肯定もしている
これぞ音楽という作品だと思う

闇に溺れず切り裂いてくれるものは以外と少ない
変に元気付けたりただただ悲しいものはあるが
このアルバムを聞いてすべてと向き合って戦っているものに出会えた

絶対的な混乱は勿論あるがこの作品のように
最後に向かって落ち着いて行くのが理想だなと思う
これは決して大人になるとかそう言うことではなく
ハッキリとしたビジョンを見つけるという意味である

聞く度にやっぱり良いアルバムだと思わせてくれるこの一枚をぜひオススメしたい

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