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かすみを食べて生きる57:jazzyなランチタイム

脳梗塞 発症1か月と24日目:リハビリ病院2か月目④
食事:脳梗塞(ワレンベルグ症候群)の後遺症のため、嚥下ができなくなり訓練中。食事はミキサー食(昼食のみ)と鼻からの経管栄養。食事以外の時間は水分であれば一口スプーン半分程度の量を守って飲んでもよい。
状態:歩けるようになってきた。終日、館内フリー歩行自立。

昨日の昼食中近くの患者さんが嘔吐する音を聞いてしまい、嚥下訓練中にもかかわらず、食べ物を飲みこめなくなってしまった。
次の食事のタイミングまで引きずると、機能的にだけでなく精神的に食事ができなくなりそう。

これまでの記録はこちら『かすみを食べて生きる 序文と目次』
<発症1か月と23日目:リハビリ病院2か月目③
 
発症1か月と25日目:リハビリ病院2か月目⑤>


ありったけの対策を

昨日の昼食時、「嘔吐音が耳から離れない事件」が起きた。
過呼吸になったり、面談室で絶叫したり、セラピストさんに話をきいてもらったりして何とか落ち着いた私は、昨日中にいくつかの手を打った。

一つはデイルームでの席替えのお願い。
多分、同じ場所に座ると思い出してしまう。
できれば嘔吐された方から席をできるだけ離してほしい。
できればあの患者さんが視界に入らない場所。
わがままを承知でお願いした。
言語聴覚士の下浦さん(仮)から、病室で食べるのはどうかという提案があった。
でもそうなると、むせて苦しくなった時に助けてもらえない可能性がある。
昼食時の看護師さんの忙しさは、ここ数日デイルームで食事をした私は痛いほどわかっている。
私以上に食事をとることにリスクがある患者さんもいるし、食後デイルームから病室に戻る患者さんは、付き添ってくれる看護さんを順番待ちしている。
そして私にとって食事は最重要訓練なので、この状況は遠目でもいいから病院側のカルテを書く誰かに共有をしておいてほしい。
意外と孤独な戦いなので。

そしてもう一つは、食事中のイヤホンの使用
回りの音が聞こえない程度の音量で音楽を聴けば、もしまた嘔吐が起きた際も気づかずに済む。

イヤホンはリハビリ医の四谷先生(仮)にも確認をもらってOKとのことだった。
昨日の時点で席は検討するとのことだった。

あとは、気分転換
これまでにやったことがないことをやりたい。
できれば身体を動かしたい。
入院中だとこれが意外と難しい。
身体を動かすと言えば理学療法。
理学療法士田中さん(仮)に相談だ!

踊りたい

午前中の理学療法のリハビリで、私は田中さん(仮)に無茶ぶりもとい相談をした。
何か今までやっていないことをやって気分転換をしたいんです。
できれば身体を動かして。リハビリにもなるような。
何かないですかね。
例えばダンスとかできないですかね。
やったことがないので。

私にダンスの心得はない。
田中さん(仮)もダンスの経験はないとのことだった。
動画を見て踊れるようなものはないか探してみましょうとなった。

リベンジランチ:お昼ごはん#13

今日もお昼はミキサー食。
お席はどちらでしょう。

昨日までの席と部屋の対角の窓際!
私の希望を最大限聞いてもらった席だった。
ありがたい。
窓からは中庭の緑が見える。
今日のごはんは何だろな。

あかゆアート:ご機嫌なかえる

食事は楽しい雰囲気で。
ご機嫌なかえるを添えてみる。
今日の献立はこちら。

  • 豆腐ローフ

  • ほうれん草の煮もの

  • カリフラワーの煮もの

  • おかゆ

食事が運ばれてきたら、うめびしおで絵をかいて写真を撮り、イヤホンをつける。
YouTubeで作業用BGMのJazzを少し大きめの音でかける。
目の前にはごはん、窓の外には中庭の木々。
働け、妄想力。
よし、ここはおいしいミキサー食を食べさせてくれるカフェ。
大丈夫、食べれる。
まずはおかゆから。
いつも通りもったりの中にうめびしおの酸っぱさ。
よく咀嚼して飲み込む。よし、飲みこめてる。
カリフラワーの煮物は癖がなくて飲みこみもしやすい。
ほうれん草の煮物も先々週に食べた時は少しのど残りを感じたけど、今日は食べやすい。
毎日頑張っておかゆを飲みこんでいるからか、のどが鍛えられてきている気がする。
そして豆腐ローフ
豆腐は喉どおりがいいはずなのに、これは少しのどに引っかかる。
味も豆腐にいろいろ入っている気がする。
風味的にはがんもどきの中身の感じかな。

豆腐ローフという材料がわかりにくい料理もあったので、いろいろと考えながら食べることができた。
なんとか完食!
所要時間1時15分。
今日は食べれただけで、えらい。
昨日の落ち込みを断ち切れた。
明日からは朝ごはんも始まる!

クロワッサンを飲む

気分転換を探して、売店へ。
今日はガリガリさんはお休み。
現在私は飲み物であれば、一口量を守る約束で自由に飲んでよいことになっている。
なにかおもしろい飲み物はないかな。
あ、これはどうだろう。

サンマルクのチョコクロ味のドリンク

サンマルクのチョコクロ!大好き!
でもこんなおいしいものをわざわざドリンクにして、誰が飲むんやろ。
…私だ!今の私のための飲み物!!
嚥下障害持ちにとって、クロワッサンはかなり難易度が高いと思う。
あの香ばしいパリパリの皮が、絶対のどに引っかかる。
今私はチョコクロは食べることができない。
でも、これは飲める。
ありがとう、このドリンクを企画してくれた人。
ありがとう、トーヨービバレッジさん。
さっそく病棟に戻り、看護師さんに飲みますね宣言をして病室で開封。
ふたを開いてスプーンで飲めるのもポイントが高い。
お味はチョコレート!久しぶり!
なんとなく香ばしい感じがするのはイメージ補正だろうか。
こってりしすぎない味で飲みやすい。
のんびり40分かけて190mlを飲み干す。
経口で111kcalをゲットした。

ガリガリ報告

リハビリ病院にきてまだ何も飲みこめない時から、氷菓子を口に入れて味わいそっと口から出して(貴族食べ)、ガリガリ君の当たりを狙うガリガリチャレンジを続けている。
今日私はガリガリチャレンジを休んでチョコクロドリンクをいただいた。
その最中、友人の土屋さん(仮)からメッセージが届いた。

土屋さん(仮)の当たり

あ!!!!当たってるーーーー!!!!!!
友人が各地でガリガリ君を共に食べてくれるようになって3日。
3日目で当たり報告が来た。
3日で。
私は14本食べても当たらないのに。
ガリガリチャレンジャーズで健闘を称えあった。
この世にガリガリ君の当たりが存在していることが証明された。

ーー振り返って

昨日飲み込みができなくなりかけた私は、各方面のご助力、ご配慮をいただき、なんとかこの日のご飯を食べきるリカバリーができました。
ここで食べれなくなっていたら、精神的にも病むところでした。
何とか食べきれて安心しました。
皆々様ありがとうございました。

一方で、あの手この手の気分転換も考えました。
理学療法士の田中(仮)さんにダンスがしたいと相談したのは、振り返るとただの無茶ぶりだったなぁと思います。
田中(仮)さん、懐が広い方でした。
よくLINEで励ましてくれていた小学生からの友人みやこさん(仮)は、この日私にLINEの着せ替えをプレゼントしてくれました。
いつも見る画面の色が変わってパンダになりました。
遠方の友人へLINE着せ替えを贈る。
こんなに即効性がある気分転換だとは思いませんでした。
みやこさん(仮)すごいなと思いました。

チョコクロドリンク。
あれ以降見かけないのですが、もう一度飲んでみたいです。

ガリガリ君の当たり、都市伝説じゃなかったんですね。
この驚きも大きな気分転換になりました。

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