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かすみを食べて生きる77:病室内抗争勃発

脳梗塞 発症2か月と14日目:リハビリ病院2か月目㉔
食事:脳梗塞(ワレンベルグ症候群)の後遺症のため、嚥下ができなくなり訓練中。食事はみじん食にとろみつき汁物。首を左に向けると飲める。食事以外の時間は水分、プリン・ヨーグルト程度は食してもよい。
状態:歩けるようになってきた。終日、館内フリー歩行自立。きょろきょろすると少しめまいがする。

みじん食を食べることで、食べやすい食材とそうでない食材を見極めつつ、自分で食事を準備することを考え始めた。
退院後の生活を想定し始めた最中、病室内では抗争が起きていた。

これまでの記録はこちら『かすみを食べて生きる 序文と目次』
<発症2か月と13日目:リハビリ病院2か月目㉓
発症2か月と15日目:リハビリ病院2か月目㉕>

朝ごはん#20

はじめての朝のみじん食。
どんな感じかな。

おかゆアート:うれしそう

ん?んん?
最近、すごく似た絵面を見た気がする。
昨日の朝とかに。

昨日の朝ごはん

そうそう、この四角いおかず!
昨日は卵豆腐だった。
今日の献立はこちら。

  • 豆腐の甘辛煮

  • じゃが芋のみそ汁

  • マンゴーペースト

  • ソフール

  • おかゆ

  • アイソカル100

今日は煮豆腐なのか!よく見たら色味も違う。
びっくりした。
二日連続四角いおかずだから、ミキサー食から抜け出せない世界線にループしてしまったのかと思った。
そして、マンゴーペースト。
君はみじん食でもついてくるんだね。
昨日完全にお別れしたつもりでいた。
でも朝食に汁物がついてくれるのはうれしい。

みじん食になって粒のある全粥になった。
おいしいのだけどよく咀嚼すると口の中で、サラサラの水分と噛み切れなかった粒に分かれてしまい、この粒が飲みこむときのどに引っかかりやすい。
そこで持ち込みのご飯のお供、絶対的エースのこのソースが活躍。

ごはんにあうソース

少し油分があってばらばらする粒をうまくまとめてくれて、食べやすくなる感じがする。
この油分ちょい足しは今後も使えそう。例えばマヨネーズなら手軽に足せそう。
所要時間は45分。いいペース。
ただ食事後、のどに少し残留感あり。
うがいしたり水分を飲んだりしてクリアランスした。

お昼ごはん#33

おかゆアート:少し困った

見た目から、だいたいなんだかわかる!
ミキサー食を見慣れてしまったので、この見た目の料理感に毎度驚く。
献立はこちら

  • トマトソースのオムレツ、ほうれん草の煮物添え

  • 里芋の煮付け

  • みそ汁

  • おかゆ

  • アイソカル100 1本

むむむ、オムレツ
口の中で卵がぽろぽろになって食べにくい。
卵、好きなのに、悲しい。
もっと半熟とかならいけるかな。
ケチャップ、油分はないからかとろみ効果はあまりない気がする。
マヨネーズと混ぜて使えばありかも。
今日の添え物ほうれん草はしっかり煮てあるから、昨日のごま和えほどは繊維が主張せず、飲みこみやすい。
ここまで煮れば楽に食べれるのか。
そして里芋の煮付け
里芋は大丈夫。でも一緒に入っている多分高野豆腐
これは難易度が高い。口の中でぽろぽろになって、水分もなくなりのど越しが悪い。
うまく食べれるアイデアが浮かばない。要注意食材。

所要時間は50分。
食べにくい食材だと時間がかかってしまう。

カロリーを求めて#1

現在食事だけでは足りない栄養を、アイソカル100という栄養剤を1日に5本飲むことで補っている。
退院に向け栄養剤の本数を削るべく、おやつでのカロリー摂取を目論んでいる。
また病院にいてのどに詰まらせてもすぐに助けてもらえるうちに、いろいろ試して、食べれると確認できたものを増やしておきたい。

今私はプリン、ヨーグルトの範囲なら売店で買っておやつに食べてよいことになっている。
今日はこちらを試す。

Bigプッチンプリン

プリンの定番。どこでも買える。
看護師さんに部屋で食べます宣言をして、手の届く位置にナースコールを置いて実食。
うん、これは食べやすい。安定のおいしさ。
これで212kcal。
カロリーだけならアイソカル1本に匹敵する。
でもお値段が180円位するから1本143円のアイソカルにコスパでは劣る。
普段使いには厳しいけど、選択肢の一つとして覚えておく。

病室内抗争勃発

お風呂から帰ってきて病室内に入る。
なんだかおかしい。
明らかに部屋の中の雰囲気がピリピリしている。
みんながぶつぶつ言っている。
そして私の隣のベッドの安田さん(仮)と斜め向かいのベッドの吉川さん(仮)の位置が入れ替わっている。
やだ怖い。何があったの。

病室内の会話は筒抜けなので、誰かに聞くにも聞けない。
尋常ならざる雰囲気にいたたまれず、私は病室を出た。
ちょうどナースステーションに私の担当看護師西川さん(仮)がいたので、聞いてみる。
西川さん(仮)はお騒がせしてすみませんと言って、私の向かいのベッドの門田さん(仮)とその隣の吉川さん(仮)で少しトラブルがあり、ふたりの距離を取るために吉川さん(仮)と安田さん(仮)の位置を替えたことを教えてくれた。

その後、いろいろな情報により状況がわかってきた。
吉川さん(仮)が門田さん(仮)に対して「音がうるさい!」と怒り、歩行用のバギーをカーテン越しに門田さん(仮)のベッドの方へ突っ込んだらしい。
バギーは門田さん(仮)の足に当たったそうで、足を痛めてしまったらしい。

吉川さん(仮)は「自分は悪くない!なぜベッドの位置を替わらなければならないの!もう帰らせて!帰れないならベッドの位置を戻して!」
と何度も看護師さんを呼んで怒っている。
門田さん(仮)は家族に電話して「どうして一度も荷物を送ってくれないの?」と怒っている。
荷物は何度も届いている。多分助けてほしい気持ちが荷物にすり替わっている。
そして、とばっちりを受けてベッド移動になった安田さん(仮)も「自分は何も悪いことをしていないのにどうしてベッドを替わらなければならないんでしょうか」と看護師さんに訴えている。

おぉぉ…状況はわかったけど、これはもうどうしようもない。
吉川さん(仮)は以前から過敏なところがあり、私が病室でむせても気になるようだったので、なるべく病室にいないようにしていた。
吉川さん(仮)も入院が長くなってきてストレスが溜まって、周りの音がいよいよ気になるようになってしまったのだろう。
(でも暴力はだめ、絶対!)
みんな何かしらの不具合を抱えての共同生活。
ちょっとずつ我慢しあうしかない。

どうか早く皆さんの心が穏やかになってほしいと願いつつ、この件はそっと見守ることにした。

夕ごはん#13

おかゆアート:くすぐったい

気を取り直して夕食もみじん食。
献立はこちら。

  • 真鯛の煮付け

  • 大根のあんかけ

  • みそ汁

  • おかゆ

  • アイソカル100 1本

みじん食になってお魚ははじめて。
イメージ的にはぱさぱさしそう。
食べると最初はパサつきがあるけど、よく噛めばまとまり食べやすかった。
鯛、優秀。
大根のあんかけはあんも一緒に刻んであるから、食材は見えにくい。
色的にはにんじんは入っていそう。
食べてみると食べにくくはないけど、あんの中になにか野菜ではない硬さのものが混ざっていて、少しのどにひっかかる。
何かしら。
後日確認すると、だいこん、にんじん、玉ねぎ、えびを煮たものだった。
食感のアクセント的に入っているものには注意がいりそう。

所要時間は40分。
鯛は食べやすい。


ーー振り返って

退院に向け巻きを入れ始めたタイミングで、病室内で事件が起きました。
しんどい気持ちはわかる。でも手を出すのはだめです。
看護師さんの業務の一つに「けんかの仲裁」があるとは知りませんでした。

そして私は毎食、しつこい程食材と向き合っていました。
今は病院でやってもらえる食事準備は、帰ると自分のタスクになります。
この頃夫に図書館で「嚥下食」や「介護食」についての本を何冊か借りてきてもらって読んでいました。
どれもすごく手間がかかるもので、食べる人の気持ちになって作りましょう的なことが書いてありました。
家に戻って、自分のためだけにそんなに手間をかけていられません。
家庭での介護者に求めるレベル、高すぎではないでしょうか。

その時私が求めていたものは「疲れた時でも作れる!カップラーメンを3分で嚥下食にする方法」みたいなものでした。
簡単・爆速レシピの料理研究家のYouTuberの方、嚥下食をやってくれないかと思ったりしました。
いや、これは嚥下障害がある人が食べて、食べれる食べれないを判定する必要がありそう。
つまり、自分でやればいいのか。
家で自分用の嚥下食を作らねばならない状態になったら、YouTuberになろう。

当時そんなことを思っていましたが、幸い今私はYouTuberにはなっていません。
今後加齢で嚥下力が落ちてきた時のために、ネタとして温めています。


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