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かすみを食べて生きる68:目指せ!全栄養の経口摂取!

脳梗塞 発症2か月と5日目:リハビリ病院2か月目⑮
食事:脳梗塞(ワレンベルグ症候群)の後遺症のため、嚥下ができなくなり訓練中。食事はミキサー食と鼻からの経管栄養。首を左に向けると飲める。食事以外の時間はスプーン飲みであれば水分を飲んでもよい。
状態:歩けるようになってきた。終日、館内フリー歩行自立。きょろきょろすると少しめまいがする。

今日は少し疲れている。
やや鼻詰まりがあり、風邪気味。

これまでの記録はこちら『かすみを食べて生きる 序文と目次』
<発症2か月と4日目:リハビリ病院2か月目⑭
 
発症2か月と6日目:リハビリ病院2か月目⑯>


朝ごはん#11

おかゆアート:ぞう

鼻が長くて耳が大きいので、ぞう。
献立はこちら。

  • ほうれん草とサーモンの和え物

  • マンゴーペースト

  • ソフール

  • おかゆ

食べ始めの10分間。
ぼんやりしてしまった。
あかん、疲れている。でも食べなきゃ。
気を取り直して食べ始める。
鼻が詰まって、のどが詰まり、飲み込みがしにくい。
マンゴーペースト、こんなに毎日出す必要あるのだろうか。
何か特別な栄養が摂れたりするのだろうか。
それにしても甘い。おかゆと混ぜても甘い。しんどい。
心が折れかけながらもなんとか完食。
所要時間1時間5分。最初のぼんやり10分を含む。

もしかして飲めるのでは

現在私は、ミキサー食と経鼻での栄養を併用している。
経鼻での栄養は朝食前に200ml、昼食後に100ml、夕食後に200ml。
これを毎回自分で容器に移し替え、諸々準備、確認して自分の鼻から出ている管につないでいる
経鼻の栄養で使っている「アイソカル100」はコーヒー味。
開けると子どもの頃に飲んだとてつもなく甘いコーヒー牛乳を思い出す。
朝「アイソカル100」を開けながら思った。
これ、もしかして飲んだ方が早いのでは?
最近、1日に水分を1300ml摂るようにと言われ、スプーン飲みだが一度に150~200ml程度のお茶を1日に5~6回飲んでいる。
アイソカルは1パック100ml。
飲めそう。

アイソカル100 コーヒー味

そこで私は朝食後の言語聴覚のリハビリで下浦さん(仮)に相談した。
「アイソカル、口から飲んじゃだめですか」
下浦さん(仮)はリハビリ後すぐにリハビリ医の四谷先生(仮)に確認を取ってくれて、今日のお昼から経鼻でなく、経口で飲んでみることになった。
昼食時に1本。夕食時に2本。
さてさて、飲めるかな。

思わぬ攻撃:お昼ごはん#24

おかゆアート:パンダ

パンダ、もう少し目の周りを黒くしたかった。
献立はこちら。

  • 肉じゃが

  • 白菜の卵とじ

  • おかゆ

  • アイソカル100 1本

やや風邪気味で食べ物がのどを通りにくい私は、この食事中に激しくむせた。
すると後ろに座っているご婦人から「うるさい!」と言われてしまった。
振り向くと何事もなかったようにごはんを食べておられる。
小声で「すみません」と返しておいた。
しんどい時にしんどいことを言われてしまい、いたたまれなくなり席を立ってトイレに逃げた。
10分ほどトイレでむせた後、デイルームに戻り食事に向かった。

せっかく今回から栄養を飲むことにトライできるのに、こんなしょうもないことでへこたれるわけにはいかない。
食事をとにかくのどに流し込む。
もう味などわからない。
なんとかミキサー食を食べきって、アイソカル100をコップに入れる。
この頃にはデイルームに食事に来た人はほとんどいなくなり、気も楽になった。
スプーンで少しずつ飲む。
うーん、コーヒー味で甘くて濃厚。MCTも入っているからか少し油分を感じる。
食後のデザートに悪くない。
100mlを10分弱で飲みきった。
経鼻だと準備と後片付けも入れて30分かかるから、かなり時短。
離席時間と終わりのアイソカルも含め、所要時間は1時間15分。
なんとか飲めそう。

夕ごはん#4

おかゆアート:犬かもしれない

1日の疲れもあるからか、夜のおかゆアートは微妙になりがち。
献立はこちら。

  • ホタテのみそ煮

  • 冷奴

  • おかゆ

  • アイソカル100 2本

ホタテ、発症後初めて食材。
ミキサーでもホタテの風味はしっかり。のど通りも悪くない。
ごはんの所要時間52分。いいペース。
ここから、昼は1本だったアイソカルを、夜は2本。
コップに開けていただく。
1本目はそれなりにおいしくいただけるけど、甘いので2本目に入るとしんどくなってきた。
できれば時間を空けて飲みたい。
なんとか2本飲み切って20分。

その後看護師さんに検温時に経鼻で薬だけ入れてもらった。
そうか。栄養だけでなく薬も口から飲めないと、この鼻の管を外すことはできないのか。


ーー振り返って

嚥下障害があると、どうしてもむせやすい。
少し唾液を飲むのを忘れて溜まってしまうと、何もないところでも一人でおぼれたような状況になります。
とはいえそんな私の事情は他の人にわかるわけもなく。

病室でむせていた時も、同室でベッドサイドでのリハビリを受けていた方がセラピストさんに「あの人はいつも、わざとむせてうるさくする」と愚痴を言っておられました。
セラピストさんは「そんなことはありませんよ」と言ってくれていましたが聞く耳もたず。
そんなこんながあり、私には病室で食事をとるという選択肢はなくデイルームで食べていたのですが、そのデイルームでも「うるさい」と言われてしまいました。
それなりに周りに気を遣ってきたつもりでしたが、八方ふさがりでした。
状況を見ていた看護師さんに「(うるさいと言った人は)認知症もある方だから、気にしなくていい」と言われましたが、それならまた言われる可能性もあるのかとげんなりしました。
嚥下障がい者がリハビリしているリハビリ病院でむせたらあかん言われたら、ほんまにどうせい言うねん案件でした。

そして経鼻でいただいていた栄養を、飲み始めました!
全部飲んで、薬も飲めれば、もう二か月近く鼻からぶら下げているこの管を取れるはずです。
体調を崩したり、他人にどうこう言われたりして気落ちしている場合ではありません。
今はリハビリでの回復にとって、大事な時期です。
この日の夜は子どもとビデオ通話をして、早く帰らねばと気を引き締めました。

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