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【かすみを食べて生きる 45 リハビリ病院1か月目㉒】ワレンベルグ症候群による嚥下障害のリハビリなどの記録

脳梗塞 発症1か月と12日目:リハビリ病院22日目
・食事:脳梗塞の後遺症で嚥下ができなくなり訓練中。食事はミキサー食(昼食のみ)と鼻からの経管栄養を併用。食事以外の時間はスプーンの半分程度の水分を一度に10口まで飲むことが許されている。
・状態:歩けるようになってきた。終日、館内フリー歩行自立。階段は上り下りでめまいがする。
・嚥下:嚥下訓練中。首を左に向ければ1~2mlの水を飲み込める。

食事訓練初日!久々の口から食べるごはん!

これまでのお話はこちら『かすみを食べて生きる 序文と目次』
<発症1か月と11日目:リハビリ病院1か月目㉑
 
発症1か月と13日目:リハビリ病院1か月㉓>


昼ごはん#1

昨日の嚥下造影検査を受けて、本日より食事訓練がスタート!
言語聴覚士下浦さん(仮)が病室に食事を持ってきてくれた。

もってきてもらったお食事

本日の献立は

  • おかゆ

  • 卵とじ煮込みうどん

  • 小松菜の煮びたし

をとろみ剤と一緒にミキサーにかけたもの。
これに「うめびしお」という梅肉ペーストがついていた。
「うめびしお」を見た言語聴覚士の下浦さん(仮)が、
「ハートとか描かなくていいですか?」
と言ってくれた。
そうですね。描きましょう。

おかゆアート:ハート

あれ?思いのほか印象が変わった!
煮込みうどんのカラフルさもかわいく見えてきた。

今日は時間を区切って30分で食べることができるところまで。
いざ、実食!
まずは緑の小松菜。
一口量は水1mlと同程度と決まっているので、スプーンに半分程度すくって口に入れる。
すごい!!小松菜の煮びたしの味がする!!おだしの味がする!!
おいしい!!
おいしいです、下浦さん(仮)!!
次はおかゆ。見た目通りのおかゆの味。
「うめびしお」がいい仕事をしている。
かなりベトベトで、口やのどにまとわりつく。
これにはしっかり咀嚼が必要。がんばれ、唾液!
そして謎のカラフルゾーン、卵とじ煮込みうどん。
オレンジ色は、これはにんじん!久しぶり!
茶色のところは、なにか煮物っぽい感じ。なんだろう。
黄色いところは卵だな。大好き卵。
このピンクのところは…謎。なんか食べたことのある味。
献立を聞いていてもなんだかわからないものもある。
でもちゃんとその料理や素材の味がする!
ミキサー食おもしろい!

一口にしっかり咀嚼して飲める状態にした上で、5回くらい嚥下してなんとかのどを通る。
どうしてものどに残る感じがあるので一口食べるとお茶を飲んで一旦のどをクリアランスする。
食材によりのどの通りも違う。
一口食べるのに時間がかかる。
全部を2口ずつ食べたくらいで、30分終了。
うぅぅもう少し、食べたい。でも今日はここまで。
久しぶりの口から食べる食事。おいしかった!
ごちそうさまでした!

下浦さん(仮)が、食事のことで分からないことがあれば管理栄養士の竹中さん(仮)に聞くといいと教えてくれた。
煮込みうどんのピンクが気になりすぎて、私は病棟を回って竹中さん(仮)をつかまえた。
あれは味噌煮込みうどんの具をミキサーにかけたもので、にんじん、かまぼこ、卵、大根とのことだった。
か・ま・ぼ・こ!!既視感のある色と味!!かまぼこだったんだ!!
そしてあの煮物っぽい茶色は大根!そう言われればたしかに大根感があった。
しばらくミキサー食が続く私は、食べてもわからなかった食材の答えを聞くため、管理栄養士の竹中さん(仮)を探し回る患者となった。

めっちゃ長いピーヒャラ

言語聴覚のリハビリで、呼吸機能の改善や口回りの筋トレとして吹き戻しを使っている。
お祭りとかでもらう、あの吹くとピーと鳴って伸びる紙の笛。
リハビリ病院入院後から、普通の長さのもの、ちょっと長いもの、3本ついたものと3段階を経て、今日のリハビリでついにこちらをいただいた。

ロングピーヒャラ

長っ!!
これを伸ばした状態で10秒キープ。
なかなかの肺活量を求められる。
元吹奏楽部員として、息を吐くことに負けるわけにはいかない。
久しぶりに腹筋を使って細く長く息を吐き続ける。

でもどうしてもおかしくなって笑ってしまう。
何度吹いても思う。
長っ!!

ガリガリチャレンジ#お休み

まだミキサー食しか飲みこめない私が、氷菓子を口に入れて味わいそっと口から出して(貴族食べ)、ガリガリ君の当たりを狙うコーナー。
ここまで8本口にしているが、いまだ当たらず。
あまりにも当たりが出ないので、今日は浮気をした。

サクレ

すっきり氷菓子の代表格サクレ。
蓋を開けると輪切りレモンがのっている。
食事訓練は始まったけど、私はまだ他の物を飲みこむことは解禁されていない。
口に入れて味わいそっと口から出しす(貴族食べ)。
すっぱくておいしい。
でも何か物足りない。
たとえ当たりが出なくてもガリガリ君を食べる度、今回はもしかすると、というわくわく感を持っていたことに気づいた。
ごめんガリガリ君、もう浮気しない。


ーー振り返って

ミキサー食は本当においしいのか。
実は退院間際、言語聴覚士の下浦(仮)さんから言われました。
「ミキサー食をおいしいと言ったのはかすみさん(仮)が初めてでした」

もしかすると私は他の方と比べて、口からの食事ができない期間があきすぎていて、ミキサー食を異常においしく感じた可能性があります。
でも、ミキサー食を食べた時の「何を食べてるでしょうかクイズ」は毎回おもしろかったです。
しっかり味わって、頭の中でその料理を思い描いてみる。
味・香りと献立から料理が脳内に再現できると納得感がありましたし、今日のかまぼこのようになんだかわからないとちょっとした推理ゲームが始まりました。
口から食べる、香りを感じながら食べ物を味わうことは、おもしろくて幸せなことでした。

ロングピーヒャラ、ほんとに長いんです。
子どもに見せてあげたかったです。

サクレもおいしかったんですが、ガリガリ君からしか得られない何かがありました。





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