![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/99926735/rectangle_large_type_2_1298f47f9c7776232379c3fee8917f2e.png?width=800)
Photo by
satoshi_st
突然の別れ。
亡くなる直前に病院に駆け込んだ。
死ぬ直前の患者の手。ぬくもりさえ感じられないが、若者特有の肌のハリ。少し黒ずんでより一層爪が美しく見える。
亡くなった瞬間、遺体になる。
静かな病室に響き渡る鼻をすする音。
「次はあなたの番」透明のロシアンルーレットがあって、強運の持ち主が次の遺体に選ばれる。
数分、数秒前まで患者だったのに。
次の瞬間やってくるのは、恐怖心。
そこにあるのは、心臓が止まったという真実だけなのに。
帰りの分からないドライブに行っただけと言って。
裏の世界に秘密旅行に行っただけだと言って。
必ず帰ってくるって言って。
今年こそ花火を河川敷の特等席で見ようよ。
映画の途中で外に飛び出して、2回目を家で見ようよ。
ねぇ覚えてる?
平凡な私たちがした、パリにある有名なレストランの料理の真似っこごっこ。
まるこげになったハンバーグをみて笑い合ったよね。
次は成功させるって言って作った料理ノート。
滲んで字がはっきりと見えないけど、あなたの綺麗な字が好きだった。
誰も知らない特急列車に乗って、あなたのそばに行きたい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?