マガジンのカバー画像

少女とクマとの哲学的対話

70
運営しているクリエイター

2018年12月の記事一覧

少女とクマとの哲学的対話「時が過ぎ去るということ」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。
〈時〉
大みそか

アイチ「一年が終わるね」
クマ「うん、終わるね」
アイチ「なんだかあっという間だった気がするなあ」
クマ「あっという間だったかな」
アイチ「うん」
クマ「それじゃ、そうなのかもしれない」
アイチ「こうしてあっという間に一年が過ぎたらさ、あっという間に十年が過ぎて、あっ

もっとみる

少女とクマとの哲学的対話「30年後の世界」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。

アイチ「うーん……」
クマ「何をうなってるの?」
アイチ「学校の課題で、『30年後あったらいいな』っていうテーマで作文を書くように言われているんだけど、考えがまとまらなくて」
クマ「30年後あったらいいな、か。なるほどね」
アイチ「そういうの、あんまり思いつかなくてさ。30年後あったら

もっとみる

少女とクマとの哲学的対話「人間の進化」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。
進歩主義者……人間が時の経過とともにより優れた状態に進化するという考えの持ち主。

進歩主義者「人間や、その社会や歴史というものは、常に前に進んでいくものです。昨日できなかったことも、今日はできるし、明日にはなおできることが多くなる。どこまでもどこまでも人間は進化していく。なんと素晴らし

もっとみる

少女とクマとの哲学的対話「今年のベストnote」

アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。
春日東風……noteを利用している物書き。

春日東風「以前、お勧めノートと称して、ひとさまのnoteを勝手に紹介させていただいていましたが、それはやめました。でも、今回は、『今年のベストnote』というお題が出たので、特別ということで、再び、ひとさまのnoteをご紹介させていただきたいと思います」

もっとみる

少女とクマとの哲学的対話「人を叩く時はまず自分をかえりみよ」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。
カスガ……アイチのクラスメートの男子。

カスガ「南青山に児童相談所が建設される問題に関して、ワイドショーで、『児童相談所が自分の家の近くに来たら引っ越す』という趣旨の発言をした女性の芸人がいたんだけど、本当に不見識極まりないことだ! こういうくだらない意見を電波で垂れ流すことは罪悪だと

もっとみる

少女とクマとの哲学的対話「他人の気持ちを知る条件」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。

クマ「何読んでるの?」
アイチ「新聞のコラムだよ。この前亡くなった樹木希林さんのインタビューが題材になっているんだ」
クマ「ふうん。いつか死ぬじゃなくて、いつでも死ぬという気持ちで生きている、か。彼女はガンだったからね。それは、てらいのない、まったくの本心だっただろうね」
アイチ「わた

もっとみる

少女とクマとの哲学的対話「審査の正当性はどこにある?」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。

アイチ「漫才コンテストの『M-1グランプリ2018』決勝の審査を巡って、去年決勝に出た芸人と、今年出場した芸人が、審査員の一人を批判したことで、問題になっているみたい」
クマ「打ち上げ時に酒に酔ってSNSに上げたみたいだね。酔っ払った上での暴言ということで、よっぽど品位が問われるところ

もっとみる