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新刊速報【2023年10月版】|柏書房営業部通信

 柏書房営業部です。この冒頭の文章は生成AIに任せてみてもいいかしらんという思いが過るこの頃、とはいえそれはそれでどんどん文章を書かなくなり、いざ文章を書かないといけない場面(があるとして?)に直面したとき、手元にアプリケーションにアクセスするデバイスがなかったら困るかもしれませんね。過渡期における新しい技術は、神か悪魔か、毒か薬か(ところでここまでの文章が生成AIによるものでないことをどのように証明したらよいのでしょうか)。さて、今月の柏書房の新刊は2点です。「動物と話してみたい」――人類はその夢にどこまで近づいたのか? 巨大海獣とビッグデータが出会う動物の言語をめぐる最前線『クジラと話す方法』、アルコールと医術の切っても切れない歴史を広範な資料と調査に基づいて読み解く『酒が薬で、薬が酒で』です。

『クジラと話す方法』

トム・マスティル 著
杉田真 訳

【営業担当・見野から一言】
 あの大きなクジラが、海から飛び出し「上から落ちて」きた!?
 クジラが落ちてくるなんて、そんなことあるわけないでしょ……と思ったあなた。いや、あったんです!!!
https://youtu.be/8u-MW7vF0-Y?si=SbTRLrM4Ke067LIp ←実際の映像がこちら!!
 この『クジラと話す方法』は、国際的評価の高い映像作家である著者が、自らが体験した衝撃的な出来事を発端とし、クジラと人間がコミュニケーションを取ることは可能なのか? という問いをひもとくため、生物学の世界で起こる革命を丹念にレポートした、(動物好きは特に!)必見のドキュメンタリーです!
 私が本書で一番驚いたのは、著者の上に落ちてきたクジラをビッグデータを使って「特定」することができたということ!(本書ではザトウクジラのCRC-12564とも呼ばれています。)あの広大な海からたった一匹のクジラを特定するなんて、さすがに不可能でしょ? と思っていましたが……可能なようです。びっくりしました。本当にすごい!
 このように、ビッグデータと最新のAI技術によって目覚ましい進歩を見せつつある生物学や動物行動学、生物音響学の研究の最先端を垣間見ることができるのが、この『クジラと話す方法』なのです!(タイトルに「クジラ」と銘打ってはありますが、クジラ以外にも、鳥類などたくさんの動物が登場します!)
 動物と話すことができる未来は、想像よりもずっと近くに来ているのかも? と期待を膨らませてしまいます。とりあえず、動物と話せるようになったら、うちで飼っているわんこと腹を割って話してみたいです……!

※以下のリンクにて本書の試し読みができます

『酒が薬で、薬が酒で』

キャンパー・イングリッシュ 著
海野桂 訳

【営業担当・里村から一言】
 
「ソバーキュリアス」という言葉をご存知でしょうか? なんでも、あえてお酒を飲まない最近の若者の傾向を指す言葉だそうです。たしかに「飲みニケーション」が忌避されたり、味の良いノンアルコールビールや「微アル」を売りにした商品が増えたりと、嗜好品としてのお酒はすこしずつ下火になっているのかもしれません。エンタメあふれる現代社会において飲んで酔って寝てしまうのを勿体ないと思う気持ち、わかります。
 ですが、それはあくまで嗜好品としてのお酒の話! お酒が薬だったら話は変わってくるのではありませんか? いや、数千年にわたるお酒の歴史をひも解けば、お酒はむしろ薬として用いられたと言っても過言ではないのです!
 まだ真水が飲めるようなものではなかった時代に飲料水代わりに飲まれていたビール。貧血から熱病まで、さまざまな病気の予防薬・治療薬として飲まれた蒸留酒の数々。医学の祖・ヒポクラテスは飲酒を推奨したと言います。また低温殺菌のような馴染みある技術も、酒づくりにおける発酵への着目から病原菌が発見されたことに端を発するものだったのです。ここまで読んでくださった方のなかには、「そういえばあのとき飲んだカクテル、なんだかリステリンみたいな味だったなぁ……」なんて思い出した方もいらっしゃるかもしれません。それもそのハズ! リステリンの生みの親もまたワイン商を父に持つ外科医だったのですから。
 このようにお酒と医薬・医術とは交錯しながら歴史を紡いできたのです。本書を通してその歴史をたどったとき、すでにお酒が好きな方はもっと楽しくお酒を愉しめるように、そしてソバーキュリアスな方も少しばかりお酒に興味を抱けるようになるのではないでしょうか? その壮大な歴史に思いを馳せながらお酒を嗜むというのも、また乙なものですよ。

 『クジラと話す方法』『酒が薬で、薬が酒で』はともに10月24日(火)の配本予定です。

 来月の新刊は1点を予定しております。それではまた次回もよろしくお願い致します。


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