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人生図書館

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2016年3月の記事一覧

なんだか今日は楽しい

笑うから楽しいのか、楽しいから笑うのか。

卵が先か、鶏が先か。

とにかく、楽しいんだ、今は。

そうして笑っていた。笑い続けて、調子乗って、楽しいことして、ふざけてて。

そんな楽しすぎた学生時代の後に、社会人になると、社会人として仕事がなんだか楽しくない。

たぶん、職業選択間違えたんだ。

楽しい仕事をしたい。
仕事を楽しんだ方が早いのか。

卵が先か、鶏が先か。

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僕と父方の祖父

今の僕には、父がいない。

といっても、いわゆる愛人の子供とかではない。
僕がとても小さい時は、自宅で父とよく遊んでいたし、父とお風呂に入るのは、毎日の楽しみだった。

息子が可愛くて仕方ない、優しい父親だった。

そんな父が、今はいない理由は単純だ。
僕が小学生になってすぐの夏休み頃、過労が祟って死んでしまったからだ。

元々父は身体が弱く、母は比較的身体が頑丈だった。
僕が生まれる前までは、共

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鉄オタのデート

気になる女性が、フリーになったと聞いたので、デートに誘ってみた。

一日に一回しか乗れない電車に一緒に乗る旅。

きっと彼女なら、喜んでくれるはず・・・

って、おい、遅刻ギリギリとかどういうことだ!時間ギリギリ計算しつくしてるのに。寝坊とか。
仕方ない、走ろう。

何とか乗れた。

申し訳なさそうな、彼女。

ここで逆ギレしないのが、またいい。

お昼は、渾身のおすすめラーメン。
美味しいと、彼

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心の痛みと心の弱さ。頼りたいのは、今。

男とトラブって、別れたあの日。
別れはただでさえ、さみしさとかなしみという、何ともいえない心の痛みを伴うものなのに、トラブルに発展して修羅場になれば、心の痛みは言葉のナイフになるし、心の痛みは身体の痛みとなって具現化する。

明るい昼間は仕事もあるし、人と立ち代わり入れ替わり話が出来るから、強がれる。だけど、家に帰ってから一人ベットで咽び泣く夜が、とてつもなくしんどくて。

今の私には、一人で泣く

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人間になりたい

なんの因果か、気がついたら、熊のぬいぐるみとして生まれてきていた。

くまごろーって名前つけられて、それから、俺は意識は熊人間だった。身体はぬいぐるみなんだけど。

ぬいぐるみの身体は、不自由だ。
ベットから、じっと主人がお出掛けするのを見送って、そのままじっと外にあこがれるだけの日々。

ある日、主人が俺の視線に気付いてくれた。

”おでかけ、したいの?”

そう問いかけて、微笑んだ”飼い主”は

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男も愛嬌

女は愛嬌、男は度胸とはよく言うけれど。
俺は男にも、愛嬌は必要だと思うんだよね。

いつもニコニコ。
人に嫌われる本音なんか隠して、差し障りないことだけ、言ってさ。

うっかり本音で、友情とか、人間関係にヒビ入れて損するよりはさ、みんなと建前で、広く浅く、仲良くしてさ、得しちゃえば良くね?知人は多い方がお得だよね。仕事斡旋してくれたり、俺の苦手なことだって、引き受けてくれたり。

本音をもらして、

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男の子は、いらない。

女の子可愛い。

そう、母が言う度に。

女の子可愛い。

そう、祖父母が言う度に。

男の僕は、複雑な気持ちになっていった。

娘じゃなく、息子の僕。

女装は、さすがに強要されたりはしなかったけれども、心の奥底では、僕に女装を求める人たち。

そんなのが、家族なんて。僕は、男だよね?
自分に疑問を抱く度に、必ず味方になってくれた人がたった一人だけいたんだ。

それが、僕の父。
父は、自分の両親

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私は幸せ者

私は幸せ者

ある、カラリと晴れた日の朝。荒木家の庭で、白いタオルや真っ赤なTシャツに、ワイシャツを次々に干しているとき。

私は、あぁ幸せだなぁと染み入る。

青い空の下で干せるなんて、なんてすばらしいんだろう!

夫は、いつも優しいし、これ以上幸せな女っていないよね。

由梨は、洗濯物を干しながら、ささやかな幸せを毎日感じる自分を選んだことに、ありがとうと言いたくなった。

そう、幸せは感じるもの。

ふと

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いつかは嫌われて終わる方が相手のため、だから。

私は、遠藤いちご。
源氏名は、渚。

いちごなんて本名が嫌で、本名を名乗らなくていい仕事を探して、今はキャバクラで働いている。

かつては、愛人もしていた。

私の兄弟は六人いる。二人は種違い、他の二人は腹違いで、両親同じ兄弟は姉が一人だけ。

いわゆるステップファミリーで、よく考えもしないで結婚離婚繰り返すだけでなく、子供をほいほいつくる親のせいで、家は荒れて、友達をあげられない家だったから、子

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人生図書館

アカシックレコード。ここは、人生図書館。アカシックレコードなんて呼ぶ人もいるらしい。基本的には、閉架式の図書館で、限られた会員だけが往き来出来る。大多数の人間は、存在すらしらない。

今日も、歴史から消された女教皇がある人の判例を読んでは改善策をつぶやいたり、閻魔さまが連載中の連続小説を読みながら顔を真っ赤にしたり、元人間たちが、恋愛小説よみながら、だから恋愛はゲームにすべきではないだの、三角関係

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