いつかは嫌われて終わる方が相手のため、だから。
私は、遠藤いちご。
源氏名は、渚。
いちごなんて本名が嫌で、本名を名乗らなくていい仕事を探して、今はキャバクラで働いている。
かつては、愛人もしていた。
私の兄弟は六人いる。二人は種違い、他の二人は腹違いで、両親同じ兄弟は姉が一人だけ。
いわゆるステップファミリーで、よく考えもしないで結婚離婚繰り返すだけでなく、子供をほいほいつくる親のせいで、家は荒れて、友達をあげられない家だったから、子供の時から友達はいなかった。正確には、関わり持ちたがる人間は私を嫌って去っていくか、わざと嫌われるように振る舞っていた。私のいざこざに巻き込みたくなかったから。
私は、他の兄弟とは違って、中途半端に頭がよかったので、大学にいくようにすすめられた。
よくよく考えれば、それが転落人生を決定付けた。
私の両親は、お金だけでなく、責任感もない。
だから、親は私に勉強に集中するようにのたまわっては、私だけバイト禁止令を出したりした。
それなら、小遣いくれたらいいのに、小遣いはなし。
おかげで、大学では、付き合いは断るか奢られるしかなかった。
しかし、他人に奢られることを覚えた私は、若いだけでちやほやしてくれるおじさん相手に、こっそり商売することを覚えた。
それで、愛人業である。
親にバレないように愛人になるのは、最初は簡単だった。でも、義母にはバレそうになった。まぁ、バレたところで、義理の関係である。
私なんて、どうでもいい。
そんな私を好いてくれる青年もいた。
私は、わざと抱かれて、嫌われるようにしむけて、そいつを捨てた。
本当は、大好きなんだけど、こんな家の出の女じゃ、結婚すらままならない。
なら、私を踏み台にして、性格のいいお嬢様と結婚なさい。
私は、今日も、どこかみたされない男たちへの捨て石になる。
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