見出し画像

SaaSビジネスであまり語られないプロダクトエンゲージメントの重要性

 前回の投稿では企業における「ヒト・モノ・カネ」のヒトの部分で採用を中心に実践していることを書きました。今回はモノの部分で私が今関わっているVIDEO BRAINを例に、SaaSビジネスにおけるプロダクト開発に置いて大事にしているプロダクトエンゲージメントについて語っていこうと思います。


SaaSにおいて語られる汎用的なKPI

 SaaSビジネスにおいて、よく語られるのが「THE MODEL」で語られたりしていますが、Sales&Marketingを中心とするKPI群ですね。

画像1

 SaaSサービスに関わった方であれば、一度は見たことがある名前が並んでるのではないでしょうか。概念的にはSMB向けだろうがEnterprise向けだろうが大体はこのKPIでファネル分析をして運用に関してPDCAを各部署で回していると思います。
 ただ、パッと見たときに開発、運営に関わる人たちが直接的に関わるKPIは少ないのではないでしょうか。「開発してるんだけど、自分はどの目標に向けて頑張ればいいんだ?」「営業から話を聞くけど全然繋がりがわからない」そう考える人が多いと思います。とは言え商品であるサービスが無いとビジネスは回っていきません。
 このカテゴリで開発が伴うものは以下になると思います。

画像2

 大きく分けると、リード獲得の入り口であるLPと提供するサービスそのものであるProduct(Web、App)です。LPに関しては、SaaSビジネスに置いて非常に大事な役割を担っているので、それだけ語るのにもすごいボリュームになるので、本日はProductの話を中心にしていこうと思います。

プロダクト開発チームのミッションとKPI

画像3

 SaaSビジネスに置いて、TAMの大きさはビジネスを始める上で必要な考慮事項ですが、その中にあるSAMの中でSOMを最大化させるためには「どれだけ顧客課題を大きく解決できるか」が大事になってくると思います。BtoBビジネスに置いては、顧客課題の深さが収益の大きさ並びに継続率に繋がるので、ミッションとしては「顧客価値の最大化」が適切なのかと思います。
 上記に提示したミッションを達成させるために、私たちの会社では下記のKPIを開発チームで追うようにしています。

画像4

大きく分類すると、

①プロダクト起因の失注率の減少:新規顧客に対する顧客価値
②継続率に繋がる満足度(ヘルススコア)と推奨度(NPS)の向上
-プロダクトエンゲージメントの向上:既存顧客に対する顧客価値
③開発ロードマップの策定と達成度:①、②を補完するための開発計画

といった目的に対するKPIになっています。新規、既存問わず顧客ロイヤリティをいかにあげるかということに集中できるようにしています。

①プロダクト起因の失注率の減少

 実際に電話商談、リモート商談、対面商談を営業チーム(IS、FS)が行う際にプロダクト起因で失注した要因をカテゴライズしてもらっています。

画像5

 恐らくどこのSaaS企業も同じカテゴリになると思いますが、6象限のカテゴリを作り、「欲しいプロダクト機能が無い」のカテゴリに対して細かな機能名をヒアリングさせてもらい、リスト管理をしています。社数×MRRとして実装した場合の収益インパクトのスコア化も行なっています。

②継続率に繋がる満足度(ヘルススコア)と推奨度(NPS)の向上

 既存顧客に向き合うカスタマーサクセスチームはチャーンレートをいかに下げるかという目線で顧客満足度(ヘルススコア)並びに補完を含めてNPS(ネットプロモータースコア)の調査を定期的に行なっております。

 スコアの向上に向けて必要な要素としては大きく2点あると思います。

 ①カスタマーサクセスチームによるオンボーディング、サポート
 ②プロダクト改修要望の実現

 私たち開発チームが貢献できる②プロダクト改修要望の実現に対して、お客様から要望としてもらった機能要望をbacklogとして改修リストに管理し、こちらも社数×MRR×契約プランの組み合わせで収益インパクトを予測しスコアリングを行なっております。

画像6

 こちらの改修要望を対応していくことで、利用実態を追うための指標として置いているのがサービス内の利用率向上を示すプロダクトエンゲージメント率になります。

-プロダクトエンゲージメントの向上

 SaaSビジネスに置いて、恐らく大半の事業者のかたがWebやスマートフォンでアプリケーションとしてサービスを提供していると思います。サービス自体がそれぞれ領域によって様々な顧客課題を解決しているため、プロダクトエンゲージメントのアクションに関しては内容が異なってくると思います。
 私たちの提供しているVIDEO BRAINはAI自動動画編集クラウドとしてサービス展開をしていまして、誰でも動画を編集できる環境をお客様には提供しております。

※右下

画像7

 ですので、このプロダクトがエンゲージメント率が高い状態というのが「期間中にいかに動画をたくさん作って使ってもらえるか」になります。KPIツリーで言うと、

画像8

 こういった種類のエンゲージメントポイントを策定し、既存顧客の利用ステータスを定期的に管理チェックしています。

③開発ロードマップの策定と達成度

 次に①、②を補完するための開発ロードマップの策定と進捗になります。開発優先度を決める際を3つの要素を掛け合わせて優先度を決定しています。

①新規顧客に対する顧客価値
②既存顧客に対する顧客価値

③市場に対してのインパクト

 ①、②に関しては上記で述べてきておりますが、③に関してはビジネスを進めていく上で、市場は刻々と変化していきますし、様々なプレイヤーが登場してくる中で、自分たちの強みを最大限にするために市場からあっ!と驚かれるような機能を社内メンバーを中心に検討して組み立てています。

画像9

 サービスを運営していく中で、サービスとしてのライフサイクルは必然的に発生するので、①ー③をうまくフェーズごとに合わせて可変しながら「顧客価値がその都度どうしたら最大化するのか」を目線に開発に関わるメンバーで策定、実行していきます。

最後に

 以上、SaaSビジネスにおけるプロダクト開発の目標やKPIを説明してきましたが、タイトルにある通り、「プロダクトエンゲージメント率の向上」はSaaSサービスを運営していく中で既存顧客の利用自体にフォーカスしたKPIなので、最も大事な指標だと思います。私たちはこれを主に注視し、顧客の要望に答えることで、サービス提供開始よりヘルススコアやNPSスコアを劇的に向上することができました。
 サービス立ち上げ後、優秀なインフラチームとPMメンバーが即座にログデータをTableauにまとめ上げ、指標の整理を行い運用に成功しています。もし、まだエンゲージメント率の策定や指標を持っていない会社さんはぜひ取り組んでいただきたいですね。


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
25
OPEN8 執行役員 兼 CPO(Chief Product Officer) GREE、LINEでマーケティング、事業開発に従事した後、OPEN8にジョイン。 SaaSビジネス、組織マネジメント・プロダクト開発など有益な情報を発信していきたいと思います。

こちらでもピックアップされています

プロダクト開発
プロダクト開発
  • 1本
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。