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#大間まぐろ

「隠れたマグロ漁獲」は「不良債権」にも似て大間漁協の経営を揺るがす問題に

「隠れたマグロ漁獲」は「不良債権」にも似て大間漁協の経営を揺るがす問題に

大間漁協は2024年度の県からのクロマグロ漁獲枠配分をおよそ30トン減らされる。昨年2月、漁獲したことを青森県に報告しないままクロマグロを出荷、販売した容疑で仲買業者2人が逮捕された事件で、容疑となった2021年度の未報告数量は青森県が立ち入り調査で把握していた大間など3漁協分約60トンよりもさらに30トン多いことが判明したからだ。大間漁協所属の漁業者の違反分とみられる。

 2020年以前の漁獲

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クロマグロ漁獲隠し、青森県警が捜査へ~大間漁協などの出荷データ分析始める

クロマグロ漁獲隠し、青森県警が捜査へ~大間漁協などの出荷データ分析始める

「大間まぐろ」で知られる大間漁業協同組合に23日、青森県警の刑事が訪れました。クロマグロの漁獲報告義務違反での任意の捜査です。漁協所属の漁業者の2021年度分の出荷伝票などの提出を求め、持ち帰ったもようです。

 青森県は19日、大間、奥戸(おこっぺ)、大畑町の3漁協で2021年度の漁獲報告義務違反が60トンあったと県議会で報告し、警察にも情報提供していることを明らかにしていました。県警捜査は同じ

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大間産マグロのヤミ漁獲、2021年度だけで60トン、産地偽装の疑いも~いまなお全容解明ためらう水産庁・青森県

大間産マグロのヤミ漁獲、2021年度だけで60トン、産地偽装の疑いも~いまなお全容解明ためらう水産庁・青森県

下北半島はIUU漁業の巣窟なのか?

 青森県は19日開かれた県議会農林水産常任委員会で大間漁業協同組合など3漁協の管内で2021年度中に合計59.8トンものクロマグロ漁獲が未報告だったと説明しました。ほとんどが「大間産」として出荷、販売されたものとみられます。

 3漁協とは大間町の大間、奥戸(おこっぺ)の各漁協と、むつ市の大畑町漁協で、いずれも下北半島にあります。下北半島がいわゆる違法・無報告

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大間マグロの謎を解く⑥ヤミ漁獲問題を青森県が検察庁と協議~スシローの調査開始が契機か?

大間マグロの謎を解く⑥ヤミ漁獲問題を青森県が検察庁と協議~スシローの調査開始が契機か?

 青森県農林水産部は今年3月17日付で「クロマグロ漁獲量の未報告について」とするメモを作成し、知事ら県庁首脳に回覧しました。問題の経緯と水産庁からの助言内容、それに検討対応案を記しています。

知事らにも報告した文書の内容とは?

 参考資料4枚を含めて計5枚の文書です。うち2枚は漁業法など関連法規の抜粋で、漁業法の抜粋箇所は第30条(漁獲量等の報告)、第128条(漁業監督公務員)、第176条(報

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大間産マグロの謎を解く①規制お構いなしの過剰漁獲?豊洲だけで2021年は190トン超の出荷

大間産マグロの謎を解く①規制お構いなしの過剰漁獲?豊洲だけで2021年は190トン超の出荷

 東京都中央卸売市場・豊洲市場から2021年(暦年)中の青森県大間町からのクロマグロ出荷に関するデータを取り寄せました。都の情報公開制度を利用して関係文書の開示を請求したもので、手続きをすればだれでも入手可能なデータです。

 開示された資料を分析したところ、2021年1月から12月までの間に豊洲市場に出荷された大間産マグロの総量は2210本、196トンという結果になりました。このうち管理年度が異

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大間漁協、マグロ漁獲未報告4トン修正~違反者に「操業停止1か月」「罰金50万円」という独自制裁も?

大間漁協、マグロ漁獲未報告4トン修正~違反者に「操業停止1か月」「罰金50万円」という独自制裁も?

 青森県の大間漁業協同組合が今年2月15日に作成した「クロマグロの採捕修正報告について」と題する文書を入手しました。

 「令和3年7月から9月にかけ一部の漁業者による漁獲報告漏れ(未報告)が発覚しました」

 そんな書き出しから始まる文書の宛先は「クロマグロ協定管理委員長」です。青森県内の漁協が参加し、県水産振興課の助言を受けつつ県漁連が事務局を務める「くろまぐろ管理協定委員会」にあてたものとみ

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クロマグロ漁獲報告義務の履行について、スシローが「未確認」という驚き

クロマグロ漁獲報告義務の履行について、スシローが「未確認」という驚き

 回転ずし「スシロー」の親会社、FOOD&LIFE COMPANIES(以下F&L)が15日、「食材に関するお知らせ」を同社のホームページ上で発表しました。同社が扱った大間産のクロマグロに関して国の漁獲枠に沿ったものかどうか、つまり合法な漁獲によるものか、ヤミ漁獲によるものかの確認を進めている、という内容です。

 結果が出るのを待たず、調査を始めたというだけで公表するなんて、外食産業のプレスリリ

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「大間まぐろ」とは「大間沖」でとれたクロマグロのはず〜豊洲市場の目利きたちに問いたい初歩的な商品審査の現実

「大間まぐろ」とは「大間沖」でとれたクロマグロのはず〜豊洲市場の目利きたちに問いたい初歩的な商品審査の現実

初セリの落札価格の予想だけでよいのか?
 まもなく新年です。例年この時期になると、豊洲市場のマグロの初セリに関する話題や、初セリ最高値の常連、青森県大間の漁師たちが津軽海峡で巨大マグロを釣ろうとする姿を描くテレビの特番に注目が集まります。

 

 例えば、写真のような時事通信水産部による「2022年のマグロ初競りはどうなる」という記事がその典型です。

 この記事では2021年はコロナ禍を意識

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