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『疲れちゃった人へー「バクで、あらんことを」ご案内記事ー』


こんにちは。國吉です。
くによし組という劇団の主宰をしています。


演劇が好きです。
なんで好きかわからないくらい好きです。


構想を練っているときも、役者さんへのオファーも、スタッフさんとの打ち合わせも、小屋入りも本番も、本番前の胃液が出そうなほどの緊張も、カーテンコールの泣きたくなる瞬間も、全部全部が好きです。

生まれてからこんなに好きになったものはなく、演劇に出会えたことは運命だと思っていました。
大好きで大好きで大好きで、演劇以外なにも必要ないくらいに演劇が大好きで、一生やっていたいと思いました。


なのに私は今年のある日の夜、

「疲れちゃった」

と呟いていました。
駅のホームでした。
横に並んで電車を待っていた女性が振り返るほど見事な「疲れちゃった」を吐き出した私は、疲れちゃっていました。



今年になって、演劇が二つ中止になりました。
他にも情報解禁を前になくなった企画や、周りの人たちの公演の中止や延期の話をたくさんたくさん、たくさんたくさんたくさん聞きました。

私の大好きだった演劇とは、こんなに脆いものだったのか。


衝撃でした。
私にしたら天変地異です。
パラダイムシフトです。
私の中で絶対で幸せで天国で全部だった演劇は、こんなに簡単になくなって、こんなに簡単に怖がられて嫌われて、こんなに簡単に終わってしまうのか。


「劇団活動の邪魔になるから劇団を辞めたい」

と劇団員の永井さんが相談をしてきたのは今年の1月でした。
永井さんはうつになっていました。

4月公演の準備が始まったところでの相談に、全私はパニクリました。
それでも、私は永井さんのお芝居が好きで、私も永井さんも、演劇しかやりたいことがありませんでした。

たくさん考えて、たくさん話し合って、私は永井さんに、「眠り続けたままおじさんのようになってしまった女の子」の役を演じてもらうことにしました。
かくして、「眠る女とその周辺について」という作品は動き出しました。


絶対に面白くする。
絶対にお客さんに楽しんでもらって、出演者の人たちにも楽しい公演になって、永井さんが元気になるように・・

4月公演は、とりわけ力が入っていました。
今後のくによし組を左右する公演になると思っていました。
ずっとやりたかった劇場で、今しか出来ない、今だからこそ出来る作品を作るぞ、と気合いもりもりでおりました。


でも中止が決まるときは一瞬でした。
そして立て続けでした。
やり遂げるぞと腹を決めた4月公演も、念願だった吉祥寺シアターでの8月公演も、あっという間になくなってしまいました。


こりゃあもう仕方ない。
あとは今年の7月公演だけ。
よっしゃ、これはめちゃめちゃ頑張らないと!!!

今までで一番頑張らないとだ!!!!!!!!



そう思った途端、息が出来なくなりました。

これ以上、何を頑張ればいいのだろうか。

めちゃめちゃ頑張らないとなのに、これ以上、何を頑張らないといけないんだっけ・・?

頑張っても本番出来るんだっけ・・?

頑張って本番できなかったらどうなるんだっけ・・?


「疲れちゃった」


あんなに好きだった演劇に、疲れてしまいました。
頑張り方がわからなくなってしまいました。
演劇を作るのも、見るのでさえ、辛くなってしまいました。
やらなければいけないことを考えると息が苦しくなって、泣きたくなるようになりました。


こんなはずじゃなかった。
演劇はもっとハッピーだったのに。
私の天国だったのに。
にっくきコロナ。
にっくきコロナめ!


そして駅のホームでの呟きに戻ります。

「疲れちゃった」

電車のドアが開いても乗り込む気力が出なく、呆然と立っていました。
そんなとき、頭の中に、好きなことのために頑張る子と、それを眺めて「疲れちゃった」と呟く女の人の映像が浮かんできました。

よし、これをやろう。

とっても疲れたある夜、

くによし組7月公演「バクで、あらんことを」のお話しの筋が決まりました。



私が演劇に疲れるなんてよっぽどだ。
ということはきっと、皆疲れてる。
この世界には疲れている人がいっぱいいるはずだ。

好きだったものを頑張れなくなったとき、好きなものなのに興味をもてなくなったとき、人は自分を責めてしまいます。
ときには他人に責められます。

「好きでやってるんだから」
「でも好きなんでしょ」
「好きでやり始めたんだからやり遂げなきゃ」

全部、私が今まで言われたことです。
元気なときは、こんなことを言われても、

「そうだよな、私演劇大好きだもんな!」

とエネルギーが漲りましたが、今はこれを言われると、消えてしまいたくなります。


好きなことさえ頑張れないなんて。
好きだったはずの演劇に関わることで疲れてしまう自分が情けなくて、嫌いで嫌いで嫌いになりました。


きっと、そんな人がいっっっぱいいる。

好きなことさえも頑張れなくなるくらい疲れてる人がいっっっっっぱいいるはずです。

私は、そんな人たちのための作品を、そんな自分のための作品を作ることに決めました。


「バクで、あらんことを」

夢をもち、夢のために顔をバクに整形した女の子が、大人になり、夢に疲れてしまった。
さてどうする、というお話しです。

可愛くて悲しくて素敵な役者さんたちが集まってくださって、私のやりたいことを一緒に考えて一緒に作ってくれるのが、本当に嬉しくて、毎日泣きそうになっています。


夢をもったっていいじゃない。
夢のためにいろいろ犠牲にしてもいいじゃない。
その夢に飽きてもいいじゃない。
夢が変わってもいいじゃない。
夢を見るのを休憩したっていいじゃない。


そんなメッセージをねりねりと込めた作品を、今、作っています。


頑張るのを疲れてしまった人に、どうか見て欲しいです。

少し休もうと思ったり、少し頑張ろうと思ったり、また何かを好きになったり、見てくれた人の気持ちが、少しでもいい風に動きますように、みんなハッピーになれますように。
願って願って、ご来場をお待ちしております。


ぜひ劇場で、でも劇場が難しければ、配信で。
この作品を見届けてくれましたら、とっても嬉しいです。

くによし組の公演は、今年はこれで最後です。


私は、この作品が終わったら、少し休もうと思います。
なので、もうひと、ふた、さん頑張りくらいします。


世界中のみんなが、自分のことを大好きでいられますように。
大好きな人がたくさんできますように。
好きなものを大事にできますように。



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くによし組
「バクで、あらんことを」



作・演出 國吉咲貴

●あらすじ
容姿も中身も自己評価30点のモリコが暮らす田舎町に、大ニュースが舞い込んだ。
有名な映画監督ソソノマソソルが、町に住む女性限定の主役オーディションをするというのだ。役柄は「バク」
軽い気持ちでオーディションに応募したモリコはなんと最終審査進出。
するとすかさずモリコに欲が出た。

「このチャンスを、逃したくない!」

きたる最終審査。会場に現れたモリコに、場内は騒然。
モリコは顔を「バク」に整形してきたのだ。

バクになりたい。
バクであって欲しい。
バクだったらよかったのに。
これは、夢を叶えようともがく人々と、夢から覚めた人々を描くお話。

●出演者
【Aチーム】
井田ゆいか、⾦⽥侑⽣(HYP39Div.)木幡雄太(アナログスイッチ)、國吉咲貴(くによし組)、佐藤有里子、鈴木あかり(第27班)、手塚けだま、中野智恵梨、⼋島さらら(LAL)

【Bチーム】
菊池美里、葛生大雅(マチルダアパルトマン)、⿊澤⾵太(guizillen)、芝原啓成(オイスターズ)、田久保柚香、常住奈緒(はねるつみき)、永井一信(くによし組)、中野亜美、堀靖明

●日時 2021年6月30日(水)〜7月4日(日)
6/30(水)A 16:00 / A 19:30
7/1(木)B 16:00 / B 19:30
7/2(金)B 12:00 / A 16:00 / A 19:30
7/3(土)A 12:00 / B 16:00 / B 19:30
7/4(日)B 11:30配 / A 15:30配

※受付開始・開場は30分前。上演時間は70分〜80分を予定しています。
全席自由席です。
配・・7/4(日)の2公演は生配信。アーカイブは8/3まで。

●チケット 
前売一般 3500円(事前振込)

18歳以下 1000円(当日精算)※身分証明書要提示。数量限定。

※当日券は前売・18歳以下共に、上記価格に+500円

配信チケット 2000円 (Web予約のみ)

<購入・視聴方法>


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●会場 花まる学習会王子小劇場
〒114-0002 東京都北区王子1-14-4 地下1F
王子駅より徒歩5分。 JR京浜東北線は「北口」、東京メトロ南北線は「4番出口」から北本通りを直進。「まいばすけっと 王子北本通り店」というお店の地下です。

●くによし組とは
人見知りでコミュニケーション下手な國吉咲貴が、優しい人を集めて作る表現チーム。
コンセプトは『異常で、日常で、シュール』
佐藤佐吉賞最優秀作品賞、関西演劇祭脚本賞・演出賞、若手演出家コンクール優秀賞、佐藤佐吉賞優秀主演女優賞、優秀助演女優賞など受賞。

●お問い合わせ kuniyo9110@yahoo.co.jp(くによし組)


●ご来場のお客様へのお願い
・マスクの着⽤、咳エチケット、⼿洗いや⼿指消毒をお願いします。
・劇場に到着した際に体温計による検温を⾏います。
・以下のいずれかに該当する⽅の劇場への⽴ち⼊りをお断りさせていただきます。
-来場時に⾏う検温で 37.5℃以上が測定された⽅
-咳やのどの痛みなど体調不良の症状がある⽅
-現在感染している、あるいはその疑いがある⽅との接触があった⽅
-過去 2 週間以内に政府から⼊国制限や⼊国後の観察期間を必要とされている国・地域への訪問歴がある、あるいはその在住者との接触があった⽅
・⽒名(本名)と連絡先を把握して、⼀定の期間劇場で保管させていただきます。
・終演後の面会は実施いたしません。プレゼントや差し⼊れ、祝花などもお断りさせていただきます。ご了承ください。

よろしければサポートをお願いいたします。今後の活動をもっと元気に頑張れます。