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生活保護ってどういうもの?

皆さんは「生活保護制度」というものをご存じでしょうか?

生活保護とは生活を営むことのできない人へのセーフティーネットの役割を持つ制度です。

「生活保護」と言われてもピンとこない人もいるかもしれませんが、近年では日本人口の60人に1人が生活保護の申請に通っていると言われており、意外と身近にある存在なのです。

生活保護制度とは?

生活保護制度について、厚生労働省のホームページでは以下のように解説しています。

”生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。”

この文章の中にある「健康で文化的な最低限度の生活」という言葉は、どこかで聞き覚えがあるのではないでしょうか?

これは日本国憲法の一部を抜き出したものですが、憲法に規定された最低限度の生活を営むために作られたのが「生活保護制度」なのです。

生活保護法には、あらゆる収入を合わせても国の基準である最低生活費に満たない生活困窮者に、その差額が支給金額として決められています。


生活保護を受ける条件

生活保護を受けるためには要件があり、厚生労働省では以下のように解説しています。

”生活保護は世帯単位で行い、世帯員全員が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが前提でありまた、扶養義務者の扶養は、生活保護法による保護に優先します。”

少し言い回しが難しいのでわかりやすく言い直してみましょう。

資産・能力・あらゆるもの、というのは
貯金や資産があるなら売却などしてそれを使う事
働ける力があるなら働くこと
手当や年金を受け取れるならまずはそちらを使う事

という意味になります。

「扶養義務者の扶養は生活保護法の保護に優先」というのは
親や兄弟の扶養に入ることで生活できるならそちらを頼ること、という意味です。

また、この4つにプラスして、
生活保護以外の制度をすでに利用しているという条件もあります。

以上のことから、生活保護の条件としては
働けない
預貯金がない
換金できるものがない
親戚から援助を受けられない
生活保護以外の制度を利用している

という項目がキーワードになってきます。

この5つについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

働けない

生活保護は基本的に「働けない人」のためのものです。
働けるならまずは働く、というのが国の方針なので、生活保護を受けている人が働いた場合、働いて得た収入の分は生活保護から除外されます。

預貯金がない

使っていない貯金がある場合は、もちろん貯金を先に使うことが前提です。
ですが貯金が1~10万円程度の場合は、生活に最低限必要なお金として所持が認められます。

換金が可能な資産は換金している

生活保護を受ける場合、価値のある貴金属や使っていない土地などを残しておくことは出来ません。
所持している資産は生活保護を申請するときにケースワーカーに伝わるので、ルールに従って売却を勧められることになります。

売却の対象になるのは「生活を送るうえで不要と判断されるもの」なので、
使用しない土地
貴金属やブランド品
高級車
終身保険・養老保険などの貯蓄性がある生命保険
株式や債券などの有価証券

などが対象になります。

ですがすべての資産が没収されるわけではなく、例外的に残していい資産もあります。

家族や親戚から援助が期待できない

同居している親や兄弟、3親等以内の親族が存在し、資金の援助を受けられる場合はそちらから優先して援助をしてもらうことが条件です。

支援がまったくもらえなかったり、もらった金額でも足りない場合は、不足する額を生活保護でサポートしてもらえます。

生活保護以外の制度を利用している

生活保護以外の社会保険制度を利用することも、生活保護申請の条件です。

怪我や病気なら国民健康保険に入ることで3割の負担になりますし、国民年金の支払いが難しい場合は免除・納付猶予制度もあります。

他にも、障害者なら障害年金、高齢者なら介護保険、子育て世代なら児童手当など、国からは様々なサポートが行われています。

活用できる公的制度があるなら、原則として生活保護支給の範囲外になります。

生活保護に必要な手続き


では上記の条件を踏まえたうえで、生活保護の手続きを見ていきましょう。

その1.事前相談

まずは各市町村の福祉事務所に出向き、生活保護を申請したいという事を伝え、相談することから始めましょう。

相談の段階では必須の書類はありませんが、話を円滑に進めるために、
預金通帳や給与明細、障害者手帳、年金の額がわかる書類など
「生活が困窮していること」がわかる物を持っていくとスムーズになると思います。

その2.保護の申請

自治体の福祉事務所生活支援課では生活に困っている人の相談を受け付けていますが、生活保護を受ける場合、受けようとする人からの申請が必要になってきます。

申請は本人だけでなく、同居の親族、または親兄弟などの扶養義務者でも可能です。

その3.調査

申請が受理されると、ケースワーカーと呼ばれる担当者によって、保護が必要かどうかを判断する調査が行われます。
保護を受ける人の自宅を訪問して、生活の困窮具合や資産の活用度合い、働く脳力を見定めます。

また、自宅訪問だけでなく世帯全員の預貯金口座残高の調査も行われますし、必要に応じて関係書類の提出も求められます。

ケースワーカーの調査について、指示や指導に従うのが申請者の義務です。
正当な理由がないのに拒否すると、保護を受けられなくなってしまいます。

その4.保護の要否の決定

申請から14日以内に、福祉事務所が保護の要否を決定し、結果を書面の送付で通知するようになっています。
ただし実際は調査に時間がかかることが多く、30日以内に期限が延長されるケースが多いです。

その5.保護費の支給

支給が開始されるとき、福祉事務所から受給についての説明を受けることになります。
保護費は月単位で支給されますが、支給の方法は福祉事務所によって異なります。

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