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播磨陰陽師の独り言・第百七十五話「春の節分のこと」

 二月になりました。今月のイベントとしては節分と立春があります。と言うか、これしかありません。あるとすれば二月十日に〈初午〉があるくらいかなぁ。もちろん二十四節気の各々のイベントはあります。書くほどでもありませんが、出来る限り書いておきたいと思います。
 さて、一般に〈節分〉と言えば二月三日のことです。節分は特に春の節分のことを意味する場合が多いのですが、昔は、立春・立夏・立秋・立冬の各々に節分がありました。今では春の節分は、立春の前日のことになっています。この春の節分から翌日の立春の早朝にかけて〈立春大吉〉と書いた霊符を作り玄関の表の左右に貼って祝いました。
 さて、皆さんの中では、
——節分はニ月三日に限られている。
 と思っているかも知れません。実は節分がニ月三日になったのは1985年からのことです。それ以前、つまり1984年以前の〈春の節分〉は閏年うるうどしのニ月四日のことでした。なにぶん、閏年のことですので、何と四年に一度しか春の節分が来かった訳です。
 実は毎年三日に節分をするのは、江戸時代からの播磨陰陽師の風習でした。まわりは閏年にしかやっていませんでしたが、われわれは毎年のことだったのです。その理由は、春の節分の儀式を終えた翌日が祖先たち赤穂浪士の命日だからです。祖先は節分を終えてから切腹しました。そのことを忘れないように、毎年、春の節分を祝っていたのでした。
 さて、かつて春の節分には〈節分お化け〉と呼ばれる行事がありました。これは江戸時代から続く行事でしたが、いつの間にかすたれてしまい、近年、大阪の北新地で復活しました。もともとは、芸妓さんたちがお化けのような妙な扮装をして練り歩く行事でしたので、まさしく日本版のハロウィンみたいな感じでした。節分は、まだ、寒い頃ですが、季節の大きな変わり目と言う意味でそれを祝う行事だったようです。
 そして翌日の四日は立春です。春はもうすぐ、暖かい季節をイメージして、春に期待しましょう。

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