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播磨陰陽師の独り言・第438話「ロケテスト」

 ゲーム開発の終盤にはロケーションテストを行います。ロケーションテストとは、仮にゲームセンターにゲームを出して、一日の売り上げを調べることです。通称〈ロケテスト〉と言います。
 花園のゲームセンターで、毎回、ロケテストしていました。スタッフ専用の部屋のゲームセンター側は、マジックミラーになっていました。このミラー、表から見たら、ただの鏡に見えます。よく刑事ドラマなんかで、容疑者を尋問する部屋に使われているやつです。
 ゲームセンターの開店から閉店までの間、スタッフルームにこもって、ゲーム機のロケーションテストを眺めていました。普通、ロケテストは一ヶ月ほど行います。その間、ずっとスタッフルームにこもりっきりです。
 自分たちで開発した時は花園のゲームセンターばかりでしたが、他社開発の場合は、様々な場所で行います。十三《じゅうそう》駅付近や、梅田の東通り商店街が多かったと思います。時には尼崎のこともありました。
 ロケテストの時は、場所を移動する訳にも行かないので、ゲームセンターが出しているカレーばかりを食べていました。あまり美味しくなかったですが、それしかなかったので仕方ありません。この月ほど、毎日、カレーばかりを食べたことはなかったです。
 ある時、出世大相撲のジャ○コさんのロケテストに参加していました。社長さんも来ていたので、アイスコーヒーをおごってもらいました。
 アイ○ムさんのロケテストに参加したこともあります。アイ○ムさんは十三駅前専門でした。もちろん、カプ○ンさんやナ○コさんのロケテストも見学しました。色々な会社のロケテストに参加しました。参加したのと見学したのの違いは、系列の会社には〈参加〉で、知り合いの会社には〈見学〉となります。
 ある時、難波だったかなぁ、ナムコ直営のゲームセンターで『ポールポジション』と言うレースゲームのロケテストが行われ、見学したことがあります。階段の下の小さな物置のような部屋に、開発用のコンピュータが置かれていて、ゲームとつながっていました。プログラムを変更するとコースが変わりました。
 それを見て、
——あぁ、こう言うやり方も良いなぁ。
 と思ったものです。
 梅田でコ○ミさんのロケテストの見学もしたこともあります。話を聞くと関西版と関東版に分けて開発しているそうで、
——それも良いなぁ。
 と思ったものでした。そんなこんなで様々なロケテストを見て、自分で開発する時に参考にしていました。

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