怪しい世界の住人〈天狗〉第八話「人の霊が天狗に」
現実世界の人間が死ぬと、とりあえず霊体となって、幽界の世界に入ります。この世界は死後の世界のことです。
普通、播磨陰陽道の講座等では、
「魂魄が分離して、魂は天へ登り、魄は地に留まる」
とお伝えしています。
魂魄が分離する前の霊体を〈亡霊〉と呼ぶのです。すべての人が死後、魂魄が分離して、すぐに魂の逝く末が決まるのではありません。なかなか決まらない人もかなりいるのです。だから〈亡霊〉とか〈怨霊〉とか〈祟り〉とかがあるのです。
この霊体は、魂魄と呼ぶ二種類の陰陽の魂で出来ています。霊体が分離して魂と魄になるには少し時間が必要です。
人が死んで霊体になると、その人それぞれの〈徳〉と〈行い〉によって霊体の世界である幽界の官位と言うものが定まります。
幽界には、陰の幽界である〈月の幽界〉と、いわゆる陽の幽界である〈日の幽界〉の二種類があります。まずは、この二種類の幽界のどこかに行くことになります。
やがて二種類の幽界とは別に、天地各々の幽界に行きます。この幽界のことを、それぞれ〈天の幽界〉と〈地の幽界〉と呼びます。こちらの幽界のどこへ逝くかは霊体の魂魄が分離した後に決められた霊体の官位によって決まります。
結局、誰が、死後どこへ逝くのかは、その人の生きている時の行動と積まれた〈徳〉によって決まります。それらの官位には、尊いとか、卑しいとか、軽いとか、重いとかの種類があります。
【死後の官位】
ここから先は
2,173字
¥ 100
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?