御伽怪談短編集・第四話「串浦社の祟り」
第四話「串浦社の祟り」
享和から文化(1800)にかけての頃だった。江戸で何度か大火があり、たくさんの家が焼け、木材が不足していた。特に文化三年の火災は大きく、千人以上の人々が亡くなったと言う。全国から木材が集められ、江戸へ運ばれた。江戸から遠く離れた伊予の国も、けして例外ではなかった。
そんな頃、伊予の国・宇和島の上灘の端に〈串浦〉と呼ばれる海岸があった。その近くに〈串浦社〉と呼ばれる神社があった。串浦社は森に囲まれていた。その多くは太い木々であり、何本もに注連縄が