マガジンのカバー画像

御伽怪談

53
昔の実話怪談に基づいた、お伽話のようなオリジナル小説です。各々原稿用紙16枚です。第一集は、江戸に広がる猫のお話が中心です。
運営しているクリエイター

#化け物が出た

御伽怪談について

 はじめまして。播磨陰陽師の尾畑雁多です。大阪文学学校で小説を学んでいます。  御伽怪談…

尾畑雁多
2年前
25

御伽怪談第三集・第八話「七ケ浜の怪獣」

  一  時は文化のはじめとあるので、1800年代初頭のこと、あと五十年ほどで黒船が来るかと…

尾畑雁多
2年前
12

御伽怪談第三集・第七話「唐津の水妖怪」

  一  正徳(1711)の頃のことである。九州は唐津の城の裏壕に化け物が出ると噂されて…

尾畑雁多
2年前
11

御伽怪談第三集・第六話「闇を裂く産女」

  一  貞享四年(1687年)のことであった。京の西の岡あたりに、この二、三夜、不思議な声…

尾畑雁多
2年前
12

御伽怪談第三集・第五話「背中を流す女」

  一  江戸時代に最も有名な有馬温泉は今でもある。延宝五年(1677)のこと。その頃の…

尾畑雁多
2年前
27

御伽怪談第三集・第四話「化け物の師匠」

   一  承応年間(1656)のことであった。京都の上立売に萬吉太夫と言う猿楽師が住ん…

尾畑雁多
2年前
16

御伽怪談第三集・第三話「肝試しの代償」

  一  寛永の頃(1624)のことである。京に住む町人たちが頭を寄せ合い、知恵を絞り、つまらぬ与太話を繰り広げていた。  奇しくも秋の満月の、しかも未の夜だった。遠寺の鐘が陰々と鳴り響く中、虫の音も何やら怖れるかのように聞こえていた。そよそよと揺れる芒の穂が、亡霊のおいでおいでのように見える夜であった。  九月の未には碌なことがない。化け物の出る確率も上がるのだが、そんなことは露も知らない彼らであった。もちろん暦は読まなかった。何も知らずにこの日を選んだのであろう。弱り目

御伽怪談第三集・第二話「首之番が来た」

  一  天下分け目の関ヶ原の戦乱もすでに終わり、徳川様の時代となって、のんびりとした平…

尾畑雁多
2年前
11

御伽怪談第三集・第一話「戻り橋の魔物」

  一  室町時代、六代将軍・義教卿の頃のことである。戻り橋のあたりに怖ろしい化け物が出…

尾畑雁多
2年前
10