御伽怪談短編集・第九話「先夫の死霊が」
第九話「先夫の死霊が」
拙者は鈴木桃野と申す儒学者。儒学と申すは、孔子にはじまる古来の政治・道徳の学びのことである。世の中に少しは名を知られておるが、儒学とは関係のない『反古のうらがき』と申す本に不可思議なることを書き記して、世の不思議を知ることやや度々となりぬ。
さて、今回は、友人の斎藤朴園の奇妙な体験について少し語ろう。
ある時、朴園に後添えの妻が来ることとなった。一昨年の流行り病で妻と死別し、寂しい想いをしていたが、まずはめでたいことである。今度の妻も、前夫と